水仕事が多い飲食店。手荒れに悩まされる従業員は多いのではないでしょうか?

なかには、日々の予防だけで解決することが難しいケースもあります。しかし、手荒れによる痛みを我慢しながら仕事するのはつらいですよね。

今回のコラムでは日々の手荒れ予防に加えて、飲食店で働く間にできる手荒れ対策をご紹介します。普段つい見落としがちなちょっとした作業を改善するだけで、手荒れを防ぐことができますよ。

従業員を手荒れから守るために、飲食店のオーナーさんが知っておくべきこともお伝えします。

  1. 日々実践したい基本的な手荒れ対策
  2. 飲食店で勤務中に実践!手荒れを防ぐ4つの対策
  3. 従業員を守るために飲食店ができること
  4. 最後に

日々実践したい基本的な手荒れ対策

手荒れを予防するために、日常生活でできる対策をお伝えします。
基本的な対策が中心ですが、普段対策している方も今一度おさらいしてみてください。

手を保湿する

日常生活での手荒れ対策において、1番大切なのは保湿です。保湿することで、手が本来持っているバリア機能を高めることができます。

化粧水→ハンドクリームの順で手に塗りこむのが、理想的なケア方法です。化粧水を手に染みこませたら、こすり合わせるなどして手を温めましょう。化粧水、ハンドクリームの浸透力を高めるとともに、ハンドクリームの伸びを良くすることができます。

また、ハンドクリームの効果を最大限発揮させるためには、適量を塗ることが大切です。ハンドクリームを塗りすぎて乾燥するということはありません。

しかし、ハンドクリームを塗る量が少なすぎると、塗る時の摩擦が肌に負担をかけてしまいます。ハンドクリームの適量は、チューブタイプなら3〜4cm、ジャータイプ(浅く口元の広い容器)なら直径2cm程が目安です。

ストレスを解消する

メンタルヘルスは、手の皮膚の状態に大きく影響します。なぜなら、ストレスや過労は自律神経の乱れ、そして皮膚の回復機能の低下を引き起こすためです。加えてストレスによって免疫機能が低下すると、手荒れの回復が遅れると言われています。

規則正しい生活やバランスの良い食事を心掛けることでストレスが解消され、手荒れの予防につながると言えます。

飲食店で勤務中に実践!手荒れを防ぐ4つの対策

日常生活だけでなく勤務中にも対策することで、手荒れを予防する効果がより高くなります。
飲食店で働く際に、以下の4点を実践してみてください。

  • 洗剤は洗浄力と肌荒れしにくさで選ぶ
  • ゴム手袋を正しく使う
  • 水分、洗剤を残さないようしっかり手を洗う
  • 水の温度に注意

どれも小さなことですが、毎日続けることが大切です。

洗剤は肌荒れしにくさで選ぶ

手にやさしい洗剤を使えば手が洗剤にさらされる時間を短縮でき、手のバリア機能の低下を抑えられます。また、洗浄力の強い洗剤を使って素早く汚れを落とせば、洗剤が手に触れる時間を短縮することもできます。

手にやさしい洗剤を毎日の掃除に、除菌力の高い洗剤を大掃除の時に、などと掃除の程度に応じて洗剤を使い分けてもよいですね。

しっかり汚れを落とせて、かつ手にやさしい洗剤も最近は多く販売されています。洗浄力とのバランス、店の汚れの程度を考慮した最適な洗剤をオーナーに用意してもらいましょう。

ゴム手袋を正しく使う

ゴム手袋を使用すると手に直接洗剤が触れず、手荒れ防止に有効です。
しかし、なかには”ゴム手袋を付けても手荒れしてしまう”という従業員もいるのではないでしょうか?
そんな時は、以下の2点を実践してみてください。

使い捨てゴム手袋を使用する

手に密着するためテキパキ作業を進められます。また、捨てる時にゴム手袋を裏返せば、洗剤に触れずにゴム手袋を処分することができます。

使ったゴム手袋は洗って乾かす

使用後のゴム手袋の中には手から出た皮脂が付着しています。ゴム手袋を使ったら、必ずきれいに洗って乾かしましょう。ゴム手袋の中を清潔に保つことができます。

水分、洗剤を残さないようしっかり手を洗う

最も大切な対策は、正しく手を洗うことです。
飲食店で慌ただしく作業をしていると、手を水で洗い流して拭くという工程をついおろそかにしがちです。

洗剤をしっかり洗い流すことと、水を確実に拭き取ることを意識しましょう。
手に洗剤がついたままだと、洗剤が手のバリア機能を壊してしまいます。また、手に残った水分は、手自体の水分を一緒に蒸発させ、手荒れの原因となります。

飲食店では1日に何度も繰り返し手を洗うからこそ、正しい手洗いを繰り返すことが手荒れの予防に繋がります。

水の温度に注意する

手荒れ対策で意外と見落としがちなのが、水温の調整です。手荒れを防ぐ最適な水温は33〜35度といわれています。

水仕事や手洗いの時の水温は、冷たすぎても熱すぎてもいけません。冷たい水に長時間触れていると手の血行が悪くなり、手荒れが治りにくくなります。温度の高いお湯は手の皮脂を溶かしてしまうため、手荒れに繋がります。

また、42、3度より高い温度のお湯は手の血行を良くしすぎるため、かゆみを引き起こしてしまいます。

ぬるま湯での水仕事を習慣にしましょう。

 

従業員を守るために飲食店ができること

深刻な手荒れに苦しんでいる、あるいは、今後手荒れが著しく悪化する人がいたら、飲食店やそのオーナーさんは従業員を守らなければなりません。
いざという時に迅速に対応するために、正しい知識を頭に入れておきましょう。

労災は適用できるの?

手荒れに労災(労働災害)が適用された実例があります。手荒れに対して労災が適用されるには、基本的に以下3つの情報を揃える必要があります。

  • 勤務中に使用した洗剤が特定できること
  • 特定した洗剤に皮膚炎を引き起こす成分が含まれていること
  • 私生活で発症したわけではないとが明らかであること

水仕事による手荒れは、湿疹が見られ重症化すると、”接触性皮膚炎”という病名が付きます。医療機関で接触性皮膚炎と診断された場合、以上の3点を証明できれば労災として認められる可能性が高いです。

しかし、上記の3点を証明でき、認められるかどうかは医師や会社の理解に左右されます。理解のある医師の診察を受け、必要事項を確実に証明してもらわなければなりません。会社が従業員の手荒れの苦労を理解し、勤務中の負傷として認識することも欠かせません。

医療機関を受診するタイミング

手荒れで医療機関を受診するかは、”赤み、かゆみ、ひび割れがないか”を目安に判断しましょう。
皮膚科では診察や検査を行い、最適な薬を処方してもらえます。

最後に

飲食店での水仕事による手荒れを予防するためには、日常生活だけでなく勤務中にも対策すべきだということがわかりました。ちょっとした心掛けの積み重ねで、手荒れによる痛みやかゆみに苦しまずに済む場合もあります。

今回ご紹介した対策を実践して、手荒れに悩むことのない、働きやすい環境をご自身で作っていきましょう。