飲食店でお客様に提供するグラス、きれいな状態で自信を持って提供できていますか?
ソフトドリンクを入れる細長いグラスをはじめ、水を入れるコップ、ビールを注ぐジョッキ、ワイングラスなど、飲食店では様々なグラスが使われています。
グラス類はお客様が直接口をつけるものであり、飲食店で食事をする際に最も目につく場所といっても過言ではありません。そのため、正しい洗い方を知って、くもりのないピカピカなグラスに入った飲み物をお客様に提供することが大切です。
グラスはとてもデリケートですが、適切に扱えばきれいな状態を長く保つことができます。ここでは、営業中、そして営業時間外にできるグラスの洗い方をご紹介します。
※お伝えする内容はジョッキやコップにも当てはまりますが、今回は”グラス”と表現しています。
- グラスをきれいに洗うことの重要性
- グラスのくもりや汚れは水垢と油
- 手洗い?食洗機?営業中のグラスの洗い方2つを比較
- 営業時間外にできるグラスの洗い方
- グラスの正しい管理方法
- ピカピカのグラスを提供しよう
グラスをきれいに洗うことの重要性
飲食店のグラスをきれいに洗うことは、衛生管理の観点ではもちろん、以下の2点からも重要です。
グラスの輝きが飲食店の印象を良くする
飲食店で提供されるグラスは、いわば飲食店の顔です。透明なグラスに少し汚れがついているだけでもかなり目立ちます。お客様が口をつけるグラスに汚れがついていたら、お店のイメージは間違いなく悪くなるでしょう。
お店の印象を決めるグラス。きれいな状態で胸を張って提供したいものです。
ジョッキに美味しいビールを入れられる
ジョッキに注ぐビールの味を決める最大のポイントは泡です。実はビールの泡の質は、ジョッキの汚れ具合に大きく影響されます。ジョッキに油汚れが付着していると、ビールを注いでできる泡は粗く壊れやすくなってしまいます。
ジョッキをきれいに洗うことが、ビールの品質を高める重要なポイントであるといえます。
グラスのくもりや汚れは水垢と油
食洗機やスポンジで念入りに洗っているつもりでも、グラスはすぐに白く濁ってしまいます。
丁寧に洗うだけでは落とせないグラスの汚れは、大きく2つに分けられます。
水道水による酸性の汚れ
水道水にはミネラル(カルシウム、マグネシウムなど)、カルキ(塩素)が含まれています。グラスを洗って付着した水道水は、乾燥させるうちに蒸発します。しかし、水道水のミネラルやカルキは固まってグラスに沈着し、グラスがくもって見える原因となります。
油分でできたアルカリ性の汚れ
グラスに付着する油汚れとして以下の5つが挙げられます。
すすぎ残した洗剤
グラスを手洗いしている場合、落としきれなかった洗剤の油分は頑固な汚れとなります。
他の食器の油汚れ
他の食器とグラスを一緒に洗うと、その油汚れが少なからず付着します。
手の皮脂
お客様がグラスを手で持った部分や、グラスを拭く際に素手で触れた部分には手の皮脂が付着します。
飲み物の油分
牛乳やココア、コーヒーは油分を含むため、飲み終わったグラスの内部に油分が残ります。
リップや口紅
お客様が口を付けた部分には、リップや口紅の油分が付着してしまいます。
手洗い?食洗機?営業中のグラスの洗い方2つを比較
営業中に時間をかけてグラスを洗浄することはできないため、洗剤で洗って使う必要があります。
- 手洗い
- 食洗機
今回はこれら2つの洗い方のメリット、デメリットを比較します。
手洗い
〇グラスが傷つきにくい
×時間がかかる
×人によって仕上がりが異なる
洗い物に時間をかける余裕のある店やグラスにこだわりがある飲食店では、手でグラスを洗う場合が多いです。グラスをスポンジで洗うことで、優しく傷つけずに洗うことができます。
一方、機械と比べると当然時間がかかります。また、人によって汚れの落ち方やすすぎ具合が異なることも難点です。
食洗機
〇手間がかからない
〇確実に汚れが落ちる
×洗った直後の温度が高い
×他の食器の油分が付着する
回転の速い飲食店では洗い物のスピードが重視されるため、食洗機を使うことが多いです。スピード、仕上がりの均一性が機械の良さです。
しかし、食洗機で洗った直後のグラスは比較的高温です。高温になったグラスを冷蔵庫に入れると、急激な温度差で割れてしまう恐れがあります。
また、高温のグラスはすぐに使用することができません。グラスの温度で氷が溶けて飲み物が生ぬるくなってしまい、お客様に提供できないためです。
それぞれの特徴を把握した上で、お店に合った洗い方を取り入れましょう。
営業時間外にできるグラスの洗い方
グラスをピカピカにするためには、閉店後などに時間をかけて洗う必要があります。
グラスの洗い方を、ここでは3つお伝えします。汚れの種類や程度に合わせて、適切な方法でグラスを洗いましょう。
クエン酸水に付け置きする
アルカリ性の油汚れに有効な方法です。
クエン酸水(水400mlにクエン酸小さじ2杯を入れ、しっかり溶けるまで混ぜたもの)にグラスを1時間程付け置きします。その後約40度のお湯で洗い流し、しっかり拭きます。
また、短時間で行いたい方は、クエン酸水をグラスに吹きかけてスポンジで磨いても構いません。同じように、約40度のお湯で洗い流して拭きましょう。
重曹の粉で磨く
水道水による酸性の汚れに有効な方法です。
グラスを軽く水で濡らします。そして、ラップに重曹の粉をふりかけ、グラスを磨きます。最後に約40度のお湯で洗い流し、しっかり拭きます。
研磨剤を使用する
クエン酸水や重曹でも落ちない頑固な汚れに対して使う方法です。研磨剤と研磨スポンジ(水だけで磨けるタイプ)を併用するとより汚れが落ちやすくなります。
クリスタルグラスに注意!
グラスを磨く上で1つだけ注意してほしいことがあります。クリスタルグラス(水晶のように透明な、高品位のガラスでできたグラス)には、必ず中性洗剤を使ってください。
クリスタルガラスは酸性のものを苦手とします。そのため、クエン酸水で磨くとグラスがただれてしまう恐れがあります。アルカリ性洗剤や重曹のアルカリ成分は、クリスタルガラスに含まれる酸化鉛と反応し、表面をくもらせます。
また、クリスタルグラスは高温に弱いため、食洗機の使用もNGです。
クリスタルグラスを磨く際には、洗剤の成分を確認するなど細心の注意を払ってください。
グラスの正しい管理方法
グラスを汚れにくくし、長持ちさせるポイントを3点お伝えします。
- お湯で洗い流す
- 布で包み込むように拭き取る
- 飲み口を上にして保管する
お湯で洗い流す
グラスを手洗いする場合は、約40度のお湯で洗い流しましょう。グラスから水滴が流れ落ちやすくなり、水垢も付きにくくなります。
水温が高すぎると、急激な温度変化で割れてしまう危険があり注意が必要です。
布で包み込むように拭き取る
先述したように、手の皮脂はグラスの汚れの原因になります。せっかくきれいにしたグラスに、手の皮脂汚れが付着してしまうのは避けたいです。
大きめの布を使って、あるいは2枚の布でグラスを包み込むように水分を拭き取りましょう。グラスを洗った後できるだけ早く拭くと、水の蒸発による水垢の付着を防げます。
飲み口を上にして保管する
グラスにホコリが入らないように、飲み口を下にして保管する飲食店は多くあります。しかし、飲み口を下にして保管すると、重みで飲み口が傷ついてしまいます。
またグラスの重心は底にあり、底を上にするとグラスが倒れやすくなります。
飲み口を上にして保管し、グラスの上に柔らかい布を掛ければホコリが入るのを防げます。グラスの上の柔らかい布は、グラスを重ねて保管する際にかかる負担を軽減する役割も果たします。
ピカピカのグラスを提供しよう
きれいなグラスに入った飲み物はよりおいしく感じられ、料理に華を添えてくれるでしょう。
汚れに応じた最適な方法でグラスを洗い、自信を持ってピカピカのグラスをお客様にお出ししましょう!