飲食店において、「清潔さ」が大切であるということは多くの人が知っていることですが、では改めてそれはなぜなのなか、そしてどういった場所を特に意識すべきなのか、などについてははっきりと答えられる人は多くないのではないでしょうか。
今回は、そんな飲食店の清掃の重要性や清掃方法について解説していきます!
飲食店の清掃の重要性
飲食店において「清潔さ」が重視される理由は多くありますが、ここでは中でも特に重要なものを3つご紹介します。
1つ目は、「衛生面」の問題です。飲食店ですから、当然人の口に入る食べ物を扱う場所です。
衛生環境が悪いことが原因で食中毒などのトラブルが起きると、お客様を危険にさらすことになり、お店の信頼や存続にも関わることになります。厨房のみならず、客席も常に清潔に保つことが求められます。
2つ目は、「顧客満足度」です。飲食店でお客様に提供するものは料理だけではありません。
お客様が快適に食事を楽しめる環境やサービスも求められているものに含まれます。清潔でない空間で出された料理だと同じ味でも感じ方が違いますよね。
そういった料理以外の部分でのお客様の満足度に影響するのが「清潔感」であるため、清掃が大切であると言えるのです。
3つ目は、「従業員満足度」です。お店の中の環境はお客様のみならず、働いている従業員にも影響を与えます。
綺麗に清掃がされていて、整理整頓された環境とそうでない環境では、従業員のモチベーションが変わります。働いている人も人間ですから、快適な空間で働きたいですよね。
お店を支える大切な従業員のためにも、清潔な環境は重要なのです。
以上のような理由から、飲食店においての「清掃」は非常に大切なのです。
特に清掃を意識すべき場所
清掃の重要性が理解できたところで、飲食店において特に清掃を意識すべきところを見ていきましょう!
ホール編
トイレ
トイレは店の評判に直結すると言われるほど大切な場所で、トイレの綺麗さで料理の味の感じ方に影響を及ぼす場合もあり、お客様の満足度を大きく左右する場所です。
トイレ清掃を「1日の最初の仕事」としているお店もあるほど、トイレの清掃は飲食店において重要な仕事の一つなのです。
入口
お客様が入って来られる場所であり、最初に見られる場所でもあるのが、入口です。
入口が綺麗にされていないと、そもそもお店に入ろうと思ってもらえなかったり、入店時から印象が悪くなったりしてしまうため、入口を綺麗にしておくことは必須なのです。
床
客席の床はお客様が外から持ち込んだ砂利や砂ぼこりなどが溜まる場所であり、スタッフやお客様が歩き回ることで、それらが巻き上げられたり、引き延ばされてしまったりすることがあり、汚れが取れにくくなるなるため、注意が必要です。
テーブル
テーブルはお客様が食事をされる場所であり、テーブルが汚いと、食欲や料理への満足度にも影響を及ぼしてしまいます。
食事によって食べかすがこぼれたり、油が飛んでいたりすることが多いので、そういった汚れが残ったままのテーブルにお客様を案内してしまったらクレームに繋がりかねません。綺麗なテーブルに気持ちよくお客様をご案内しましょう。
窓
窓は、外からも見える場所であり、窓が汚いことで印象が悪くなると、お店に入ってきてもらえません。
また、店内でも窓際のお客様が窓の汚れが気になることがあっては、料理に集中できず、結果として満足度の低下に繋がってしまいます。
照明
スタッフが照明を気にすることはあまり多くはありませんが、お客様はよく見ています。お店の中の何気ない設備の一つでも、お客様からすれば食事を楽しむ空間を作る大切な要素なのです。
照明にホコリが溜まっていることに気が付いて、他の場所まで汚れているのではないかと思われることもあります。
キッチン編
グリストラップ
グリストラップはキッチンの油や、食べ残し、野菜くずなどが溜まり、放置していると悪臭や害虫発生の原因になります。
食べ物を扱うお店で悪臭がしたり害虫が出たりすることは致命的で、店の評判に影響します。
また、グリストラップを詰まらせてしまうと、キッチンの汚水が排水出来なくなり、店の営業にも支障が出ます。
排水溝
排水溝もグリストラップ同様汚れやゴミが溜まりやすい場所です。排水溝に溜まった汚れやゴミを放置すると、ヌメリや悪臭の原因になります。
そういった環境では、キッチンの衛生環境が損なわれることに加え、キッチンで働くスタッフのモチベーションにも影響します。
床
キッチンの床は調理の際に食材のかすが落ちたり、油が飛んだりしているため、汚れが溜まっています。そのような状態を放置すると、衛生的な問題だけでなく、スタッフを危険にさらすことにもなります。
汚れや油などで滑りやすくなった床は、スタッフの転倒のリスクを高め、思わぬ事故を招くことに繋がります。
シンク
シンクは洗い物による油や食べ残しのゴミに加えて、水分が多い環境のため、菌なども繁殖しやすい環境です。
洗って綺麗にしているはずの調理道具や食器などが実は菌だらけになっているということも考えられます。そういった菌が食べ物にまで移ってしまうと大問題に発展しかねません。
冷蔵庫
冷蔵庫は食材を保存しておく場所なので常に清潔にしておくことが求められます。
冷蔵庫の中が汚れた環境だと、食中毒の危険性も高まり、お客様を危険にさらすことになり、お店の存続にも関わる問題に発展することも考えられます。
場所ごとの清掃方法
清掃を特に意識するべき場所を確認したところで、それぞれの場所ごとの清掃方法をご紹介していきます!
ホール編
トイレ
便器の中には、目立つ汚れに加えて、尿が飛び散ることによる見えない汚れも多くあります。そういった見えない汚れは、臭いの元になることが多いです。汚れているように見えなくても、しっかり便器をブラシなどでこすりましょう。
便座やフタ、床などはクリーナーをかけて拭き取るか、拭き取りシートなどを活用するのも良いでしょう。また、手を洗う場所の周りは水が飛び散って汚れることも多いので、頻繁に確認しなければなりません。
人の手が触れることの多いドアの掃除も忘れずに行いましょう。
開店前、閉店後の掃除に加えて、営業中もお客様が利用する度に確認すると常に綺麗なトイレを保つことができます。
入口
入口はお客様が出入りする場所なので、外からの砂利や砂ぼこりが溜まりやすい場所になります。
営業中は、食事中のお客様がいてほこりを立てることは出来ないので、営業前と営業後に砂利や砂ぼこりをしっかり掃いて綺麗な状態を保ちましょう。
ドアマットの裏などにも汚れが溜まりやすいので、注意して掃除するようにしましょう。また、入口のドアノブは不特定多数の人が触れる場所なので、こまめな掃除・除菌が大切です。
床
床はお客様が外から持ち込んだ砂利や砂ぼこりに加えて、食事による食べかすなども落ちている可能性が高いので、そういったゴミを掃除機で吸い上げてから、モップで拭き掃除を行うと効率的に床を綺麗にすることが出来ます。
また、業者に依頼して定期的にワックスがけを行うことで、より綺麗な床を維持することが出来ます。
テーブル
食事によって出る食べかすや油、ソースなどの汚れをしっかり拭き取り、除菌スプレーなどで除菌をしましょう。テーブルやイスの下にもゴミが落ちていることが多いので、注意して見るようにしましょう。
営業前と営業終了後にテーブルが綺麗かを確認することはもちろんですが、テーブルは、お客様が使われる度に汚れる場所なので、お客様の入れ替わりの際に清掃を徹底しましょう。
窓
窓の汚れは店内の蛍光灯の光では見えにくい場合があるので、注意して見るようにしましょう。
窓の掃除は雑巾などで水拭きをした後に乾いた雑巾で水分を拭き取るのが基本のやり方ですが、水分を拭き取る前に乾いていしまうと、跡が残ってしまって綺麗に仕上がらなくなるので、水拭きをしたら素早く水分を拭き取りましょう。
また、雑巾のほつれ糸などが気になる場合は、新聞紙を使うと、ほつれ糸が出ず、新聞紙のインク成分が汚れを落とす効果もあるのでおすすめです。
照明
照明の汚れは営業中に掃除することはできず、営業後も次の日の開店までに再びホコリが溜まってしまう恐れがあるので、営業前に掃除をすると良いでしょう。
照明の掃除によって、テーブルや床にホコリが落ちることがあるので、なるべく初めの方に掃除をすると二度手間二ならずに効率よく掃除をすることが出来ます。
グリストラップ
グリストラップは毎日開けて、バスケットに溜まったゴミを取ることで、悪臭や害虫発生などのリスクを抑えることができます。
また、専門の業者に定期的に依頼し、グリストラップをクリーニングしてもらうことで、日常の清掃では掃除しきれない部分まで綺麗にすることが出来るので、より清潔な状態を保つことが出来ます。
排水溝
排水溝の掃除をする際は、ゴミが残っている状態では掃除しづらくなるため、先に排水溝に残ったゴミを取り除いてから掃除を行うようにしましょう。ゴミを取り除いたら、デッキブラシなどを使ってこすり、汚れを落としましょう。
油汚れが落ちにくい場合は、油汚れ専用の洗剤を用いることで綺麗に流すことが出来ます。
床
床の掃除は、一日の終わりの締め作業の際に必ず行うようにしましょう。床に落ちているゴミを取り除いてから、油汚れ用の洗剤などを利用して、デッキブラシでこすると良いでしょう。
掃除が終わった後は、床に残った水分でスタッフが転倒してしまうと危険なので、水分を拭き取ることを忘れないようにしましょう。
シンク
シンクの掃除で意識することはとにかくヌメリを取ることと水分を残さないことです。綺麗に掃除をしたつもりでも水分が残っていると、そこが菌の温床になってしまう可能性があります。
また、食器を洗うスポンジと分けることも重要です。シンクを洗ったものと混ぜてしまうと、そこから菌が移ってしまうことも考えられます。
冷蔵庫
冷蔵庫の開閉によって発生する水滴はカビや菌を発生させる原因になるので、しっかり拭き取るようにしましょう。扉のパッキン部分にも菌が入り込みやすいので、要注意です。
また、開閉の度に触れる冷蔵庫の取っ手部分の除菌も忘れずに行いましょう。調理中に食材を触った手で開閉することも考えられるので、常に清潔な状態にしておきましょう。
清掃を習慣化するためのポイント
ここまで清掃を意識する場所、そして清掃方法について解説してきましたが、ではこれらの清掃を店舗で習慣化するためにはどうすれば良いのでしょうか。
清掃マニュアルを作成する
口頭の説明だけでは伝わりにくい部分があったり、清掃方法を忘れてしまったりすることを解決出来るのが「マニュアルの作成」です。
マニュアルを作成することによって、誰がやっても同じ清掃のクオリティを保つことが出来るようになり、人が入れ替わっても清掃方法を受け継いで行くことが可能になります。
清掃のタイミングを決める
清掃場所によって頻度やタイミングが異なるため、あらかじめ清掃のタイミングを決めて、店舗でルール化すると、忘れることなく業務の一つとして習慣化することが出来ます。
曜日や時間によって固定すると忘れにくいのでおすすめです。
清掃のチェックシートを作成する
清掃のマニュアルがあって、清掃のタイミングが決まっていても、時に忘れてしまうこともあります。そういった清掃の部分的な忘れを防ぐためには、清掃した箇所に名前や印を書くシートを用意することが効果的です。
清掃を忘れている場所が目に見えて分かるようになるので、スタッフ同士で声をかけ合うことが出来ます。
清掃場所を入れ替える
一人がずっと同じ場所の清掃を担当すると、公平性を欠いたり、スタッフの不満に繋がったりすることがあります。
清掃場所を入れ替えて、スタッフ全員がどこでも掃除できるようになると、メンバーが入れ替わっても対応することができ、清掃のクオリティを保つことができます。
まとめ
いかがでしたか?今回は飲食店においての清掃の重要性や特に清掃を意識するべき場所について解説してきました!最後にご紹介した清掃を習慣化するためのポイントも活かして、お客様も働くスタッフも気持ちよく過ごせる綺麗なお店づくりをしていきましょう!