モンステラやパキラ、胡蝶蘭、ドラセナ……。観葉植物って見ているとなぜかほっとしてしまいますよね。
私も自粛生活に癒しが欲しい! と思い立ち、大好きな映画「レオン」に登場する観葉植物・アグラオネマをつい最近購入しました。
商品を探している時に気が付いたのですが、観葉植物に関連して「空気がきれいになる」「空気清浄」といったワードを見かけることがとても多いんです。
確かに緑いっぱいの森林は空気がとてもおいしいけれど、小さな鉢植えの観葉植物ひとつで家の空気がきれいになるのでしょうか?
今回は、観葉植物と空気清浄効果の関係についてお話します。
空気清浄以外の効果やお家におきたいおすすめ観葉植物についても解説しているので、今観葉植物を探されている方は参考にしてみてくださいね。
観葉植物で空気はきれいにならない!
空気をきれいにしたいと思ったら、観葉植物を買うよりも窓を開ける方が効果的……
ちょっとがっかりしてしまいますが、最新版の研究ではこれが事実のようです。
米ドレクセル大学建築環境工学准教授のマイケル・ワニング氏らは、2019年11月6日付の「Journal of Exposure Science and Environmental Epidemiology」オンライン版で観葉植物が空気に及ぼす影響についての実験結果を発表しています。
「植物=空気清浄」の広まりはNASAの研究から
アメリカ航空宇宙局(NASA)は1989年、狭い気密容器内に設置した植物が、有害な気体「揮発性有機化合物(VOC)を低減できると証明した研究を発表しました。
この研究は幅と奥行き、高さがそれぞれ60センチ余りの空間をさまざまな気体で満たしてファンで循環させ、その中に植物を置いて気体にさらす環境で効果を測定するというものです。
植物が自宅やオフィスの空気に影響を与えるのは難しい
ワリング氏は「気体を密に入れた空間と普通の家庭やオフィスでは大きく環境が異なる」という点に着目し、これらの研究から得られたデータをアメリカで一般的な空気清浄機の性能を表す指標「クリーンエア供給率(CARD)」に換算しました。
その結果、換気で室内のVOC濃度が低下する速度は、植物の力で空気中からVOCを除去する速度を大きく上回っていることが分かりました。
つまり、小さな観葉植物を用意しても広い部屋に充満した空気をきれいにするのは難しいのです。
観葉植物の効果は?
空気清浄効果こそ期待は難しいですが、観葉植物そのものは生活を豊かにしてくれるパワーにあふれたアイテムです。
インテリアとして
手軽に部屋の印象を変えられる観葉植物。生活感のない殺風景な部屋も、鉢植えをひとつおくだけで印象が変わります。
小型や中型の観葉植物を棚の上など視線に近い高さのところに置くと、素敵なアクセントになりますよ。
気になる部分を隠す
大きな観葉植物は影ができやすく、室内の隅や家具の横など余白を埋めるのに適しています。
こういった場所にはコンセントや吸気口など、見栄えの面で隠せるとうれしいものが設置されていることも多いですよね。
大型の観葉植物を飾れば、生き生きとしたグリーンのアイテムで部屋の印象を変えながら気になる部分を隠すことができます。
リラックス効果発揮
植物を見ているとなぜかストレスが薄れる、癒されるというのは、動物が持つ本能なのかもしれません。
実際アロマテラピーや森林浴など、私たち人間は植物の力を借りて疲労回復や健康に役立てています。
例えば、樹木から発生する「フィトンチッド」という物質。
これは樹木が傷ついたときに自ら発生させて集まる微生物を抑制するものなのですが、人間にも健康効果や安らぎ感を与えてくれるのです。
緑色で視力回復
「目が疲れた時には緑のものを見ると良い」という説は有名ですね。
私たち人間の目は光によってものを見ています。色の異なりを知覚できるのは、光の波長の長短が色によって異なることが原因です。
緑色の波長は高すぎず低すぎないため、他の色よりも目に負担をかけず知覚することができます。
また、色彩心理学の観点からも緑色は健康にいいんです。
- 気持ちを安定させる
- 心や体の緊張をほぐす
- 体の緊張が取れて目も筋肉が緩みやすくなる
上のような効果が期待できますよ。
風水的にも効果アリ?
古代中国の「気」の力を利用した環境学「風水」では、植物には運気をアップさせて悪い気を吸収する力があるとしています。
葉っぱが上向きに生長する植物は陽の活発な気を放出し、下向きに生長する長する植物は気を静める陰の力があります。
葉っぱの形によっても効果が異なり、細く尖った葉であれば邪気を除ける鋭い気を、丸い葉は穏やかで心を落ち着かせる気を出すと言われています。
観葉植物を置くポイントは?
観葉植物は生き物。お手入れだけでなく置く場所にも注意して、長く楽しめるよう工夫しましょう。
- 光の当たる場所、でも直射日光は×
- 適切な温度
- エアコンの風に注意
光の当たる場所、でも直射日光は×
植物が生きていくには光が重要。明るい場所に置いてあげるのはいいことですが、葉にダメージを与える直射日光が長い時間当たる場所は避けましょう。
ご家庭の日当たりによっては、窓際でも日に当たりすぎていることがあります。
日光が自然に当たる日陰がベスト。
人工的な照明がある程度当たれば育つ観葉植物も多いことを覚えておくと、置き場所探しが楽になるかもしれません。
トイレなど日当たりの悪い場所に観葉植物を飾るなら、耐陰性の強いものを選びましょう。
ずっと日陰に置くのではなくたまに日光浴をさせてあげると、長く楽しめますよ。
適切な湿度
観葉植物は、20℃前後の気温が一番育ちやすい種類が多いです。
春から秋にかけての置き場はなるべくこの温度を保ちましょう。
極端な寒さが苦手なのも観葉植物の特徴。ですので、冬は10℃を下回らないよう気をつけて。
エアコンの風が当たらないように注意する
エアコンや扇風機の風が直接観葉植物に当たる場所は避けましょう。
風が当たることは問題ありませんが、あくまで自然風がベストです。
具体的な置き場所は?
決まった置き場所や常に避けるべき場所、というものは特にないので、上でご紹介したポイントと合わせて考えてみましょう。
- 玄関
- リビング
- ダイニング
- 寝室
- オフィス・仕事場
- トイレ
- 廊下
私はアグラオネマを自室の出窓に置いています。
目にもつきやすく、程よく日光が当たる良ポイントでした♪
出窓がお部屋にある方はぜひトライしてみてくださいね。
部屋の隅に置くのに小さな鉢植え、狭いトイレに置くのに大型観葉植物、といったミスチョイスを避けるため、サイズ感はしっかり把握しましょう。
おすすめ観葉植物10選+1
ここからは、ぜひお家に置いてほしいおすすめの観葉植物をご紹介します。
初心者でも育てやすい品種、ズボラさんでも大丈夫な乾燥に強い品種など、お世話しやすい観葉植物を中心にピックアップしました。
- モンステラ
- ガジュマル
- パキラ
- カポック
- サボテン
- フィカス・エラスティカ
- ポトス
- ドラセナ・マッサンゲアナ
- サンスベリア
- (おまけ)アグラオネマ
モンステラ
引用:https://www.shuminoengei.jp/
草丈・樹高 | 30cm~2m程度 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 強い |
アロハシャツの柄のような南国っぽい雰囲気がかわいいモンステラは、丈夫で育てやすく初心者の方にもおすすめしやすいことから人気の観葉植物。
高温多湿に強く、レースのカーテン越しくらいの日光を当ててあげるくらいの日光がちょうどいい品種です。
低温には弱いので、ベランダで育てている人は寒くなってきたら室内に入れて育てましょう。
ガジュマル
引用:https://www.shuminoengei.jp/
草丈・樹高 | 鉢植えの場合、大きくて2mほど |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | あり |
沖縄では「キジムナー」と呼ばれる精霊が宿る木とされ、全国的にも非常に人気が高いです。基本的に育てやすいですが、水やりや日光への当て方には配慮が必要。
日光を好む木ではありますが直射日光を長時間当てるのには不向きです。屋外なら遮光をし、屋内ならこちらもレースカーテン越し程度の日光が当たる場所に置きましょう。
できるだけ水はけのいい土を使用することも重要です。
パキラ
引用:https://www.shuminoengei.jp/
草丈・樹高 | 10cm~20m |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | あり |
パキラは熱帯の日当たりが良い地域に生息する植物。ですので、室内で育てる場合は風通しがよく、直射日光を浴びられる場所を選びましょう。
エアコンの風が当たると枯れてしまう恐れがあるので、置き場所には注意して。
葉が広いため、ほこりが積もらないよう定期的にティッシュペーパーやドライシートなどでお掃除してあげると◎。
カポック(シェフレラ)
引用:https://www.shuminoengei.jp/
草丈・樹高 | ~5mほど |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 普通 |
葉っぱの広がりがかわいらしく、様々な場所で見かけることが多いカポック。
ホームセンターなどで気軽に手に入れられるうえ観葉植物の中でもかなり育てやすい部類に入り、入門には最適とされています。
耐陰性で丈夫な品種ではありますが、なるべく日光が当たる場所に置き、直射は避けてあげましょう。
霜が降りない地域なら、オールシーズン屋外でも育てられます。
サボテン
草丈・樹高 | 品種によって様々 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | あり |
多肉植物のサボテンはとにかく種類が多い品種。アメリカやメキシコなどが原産なので、暑く乾燥した過酷な環境でも生きていけるよう葉や茎、根に水と栄養分を蓄えていることも特徴です。
反面寒さにはあまり強くないので、屋外管理の場合は5℃以下を目安に室内へと移動させましょう。
葉焼けしない程度にたくさん日光が当たる、風通しのいい場所に置くのが最適です。
フィカス・エラスティカ(インドゴムノキ)
引用:https://www.shuminoengei.jp/
草丈・樹高 | 大きくて30mに生長する |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | あり |
小さな鉢植えから大鉢まで楽しめて、栽培も比較的簡単なインドゴムノキ。
代表的な「デコラ」や葉が紫褐色になる「バーガンディ」、乳白色の模様が入る「アサヒ」など、様々な品種があります。
年間を通してできるだけ日光がよく当たる場所に置いてあげると、葉が生長してきれいな樹形になります。
ポトス
引用:https://www.shuminoengei.jp/
草丈・樹高 | 10cm~30cm |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 普通 |
熱帯原産の定番観葉植物、ポトス。ツル性であることも相まって、日本では吊るして楽しむハンギング用の植物としてもお馴染みです。
小さい株での販売も多いので日光の当たり具合には気をつけましょう。生長した大型のものは多少の直射日光も耐えますが、小型の場合は風通しのいい陰に置いて。
寒さにかなり弱いため、冬季の管理には気をつけましょう。
ドラセナ・マッサンゲアナ
引用:www.amazon.co.jp/dp/B002B608NU
草丈・樹高 | 大きくて6mに生長する |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 弱い |
別名「幸福の木」と呼ばれ、胡蝶蘭と並んでお祝いやギフトの場面で親しまれているドラセナ・マッサンゲアナ。
丈夫ですが耐陰性が低い観葉植物なので、室内で育てる時は気温の低い冬だけにするか、週に2回~3回のペースで外に出して日光を浴びられるようにしましょう。
エアコンや扇風機の風はNGです。
サンスベリア(トラノオ)
引用:https://www.shuminoengei.jp/
草丈・樹高 | 10cm~1mほど |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 強い |
乾燥に強い多肉植物のサンスベリアは、管理が楽で雰囲気を演出しやすいため飲食店などビジネスの現場で用いられることも多い品種です。
耐陰性が強いことも室内に置きやすい理由の一つですが、日光を好む性質ではあるので適度に日当たりのいい場所で日光浴させるときれいに育ちます。
蒸れには弱いので、定期的な植え替えができるとなお良いでしょう。
(おまけ)アグラオネマ
引用:http://t.ly/ljPB
草丈・樹高 | ~1m程度 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | 強い |
近年人気が高くなっているアグラオネマ。熱帯アジア原産なので、耐陰性が高めで高温多湿を好みます。耐陰性が強く明るい部屋であれば通年育てられますが、より本格的に育てたい場合は植物用のライトを用意します。
「レオン」に登場するのは写真の「カーティシー」と呼ばれる品種ですが、希少性が高いため私はちょっと見た目が似た品種で流通も多い「シルバーキング」を育てています。
観葉植物には空気清浄効果以外のメリットが
インパクトの大きさからか、観葉植物の販売シーンでは空気清浄効果が注目されがちです。
単体で広い部屋の空気をきれいにするのは困難ですが、観葉植物にはインテリアとして楽しんだり、心を落ち着かせてくれたりといった利点がたくさんありますから、毎日の生活に取り入れてみるのはおすすめです。
まずは入門者向けの品種からスタートしてみてはいかがでしょうか?