飲食店の床には、食品カスや調味料、油汚れ、水垢、土やほこりなど、毎日様々な汚れが付着しています。そのため、毎日の掃除が不十分だと、悪臭や害虫、カビや細菌の発生リスクが高まり、飲食店の衛生環境に悪影響を及ぼします。
床の汚れによる従業員やお客様の転倒事故や食中毒の発生といった事例も散見されます。本記事を参考に飲食店の床掃除をマスターして、事故や問題を未然に防ぎましょう。
飲食店の床掃除前の準備
飲食店の床掃除を始める前に、押さえておかなければいけない項目や準備しておくべきことがあります。一つひとつ解説していきます。
- 整理・整頓をする
- 床の状態をチェックする
- 道具を準備する
- 汚れの種類を理解する
整理・整頓をする
飲食店の床掃除を始める前に、まずは整理・整頓を実施しましょう。
整理とは、必要なものと不要なものに分けて、不要なものを処分することです。床に置いてある不要なものをできるだけ捨てることにより、掃除がしやすくなります。
整頓とは、使う人が使いやすいように、道具などを決められた場所に置くことをいいます。飲食店の床掃除の際には、掃除道具等の置き場所を決め、床の清掃がしやすいように配置することで、掃除の効率を上げることができます。
床の状態をチェックする
整理・整頓のおかげで床が見えやすくなったと思います。そこで今度は床の状態をチェックします。以下の項目を確認してみてください。
- ひびが割れたり、はがれたりしている部分はないか
- 水が溜まっていないか
- 油の固着や黒ずみはないか
- 厨房機器の下や隙間にごみが溜まっていないか
- 床の排水溝や排水桝は清掃されているか
チェック項目に引っかかった場合は、清掃前に対処する必要があります。上記の項目をどれだけクリアできているかが清掃の効率や出来栄えを左右しますので、迅速に対応しましょう。
道具を準備する
飲食店の床掃除において、道具はとても重要です。以下に床掃除に使う代表的な道具を載せておきますので、参考までにご覧ください。
- ほうき
- 雑巾
- 掃除機
- モップ
- ブラシ
- ゴム手袋
- アルコールスプレー
- スクイージー
- ポリッシャー
- 洗剤(中性・アルカリ性)
汚れの種類を理解する
飲食店の床掃除で対応する汚れは次の2種類です。
- 乾いた汚れ
- 濡れた汚れ
まずは乾いた汚れを除去します。乾いた汚れとは土砂や食べカス、塵、ほこりのことを指します。乾いた汚れは掃除機をかけたり乾拭きをしたりして取り除きましょう。
乾拭きの前に水拭きをしてしまうとほこりなどの汚れが広がってしまったり、汚れが落としづらくなってしまうので、先に掃除機や乾拭きをしてください。
濡れた汚れとは、泥汚れ、こぼし汚れ、油汚れなどを指します。濡れた汚れはモップや雑巾で水拭きしましょう。
基本的に、しつこい汚れは弱アルカリ性の洗剤を用いて落としてください。ただし、フローリングやワックスがかかっている床にアルカリ性洗剤をかけてしまうとコーディングやワックスがはがれてしまう可能性があるので、使用の際は注意しましょう。
以上のように、汚れの特徴を踏まえたうえで対応することが大切ですので、汚れの種類を理解して掃除に取り組みましょう。
【汚れ別】飲食店の床掃除の方法!
本章では、飲食店の床で頻繁に発生する黄ばみ、黒ずみ、油汚れについてそれぞれ説明していきます。汚れの種類によって対処方法を変える必要があるので、違いを把握したうえで、適切な対応をしましょう。
黄ばみ
床に付着した水滴を長期間放置すると、床の素材と反応し、黄色く変色する恐れがあります。これを黄ばみと呼びます。
黄ばみは塩化ビニル樹脂が使用された床で発生しやすく、ビニルタイプのタイルやシートを床として採用している場合、黄ばみが発生する確率が高くなってしまいます。
また、椅子やテーブルに滑り止めのゴムが装着されている場合も床に黄ばみが発生してしまう可能性があり、これをゴム汚染と呼びます。
黄ばみは基本的に中性洗剤を数滴垂らして泡立て水拭きをして、最後に乾拭きすれば取り除くことができます。中性洗剤で落ちない場合はアルカリ性洗剤を試してみましょう。先述の通り、床にどんな素材が使われているかを確認してからアルカリ洗剤を使ってくださいね。
ただし、黄ばみの原因がゴム汚染は基本的に落とせません。無理に落とそうとすると床を傷つけてしまう可能性があるので、事前に対策しておきましょう。例として、滑り止めのゴムと床の間にシリコンシートや紙を挟むという手法が挙げられます。
黒ずみ
濡れた床を放置しておくとカビが発生し、黒ずみの原因になります。あまりにも長い時間放置しておくと、床材の深いところまでカビが浸透してしまい、清掃業者でも除去できないレベルの黒ずみになってしまいます。
床材に使用されているワックスも黒ずみの原因になり得ます。ワックスが原因の黒ずみは定期的な清掃で防げるものではありません。事前の対策が有効であり、毎日のこまめな皮脂、油汚れ、カビといった原因を早い段階で除去するのが一番の手です。
対応を十分に行っても黒ずみが発生してしまった場合は、アルコールスプレーを黒ずみに吹き付け、水気がなくなってきたところで中性洗剤を含んだ濡れ雑巾で拭くことで対応します。その後、洗剤を落として乾拭きをして、黒ずみの掃除は完了です。
以上の工程で取り除けない場合は、黒ずみが床の深部に浸透しているか、黒ずみの上から新しいワックスが塗布されているかのどちらかが原因だと考えられます。そういった場合は専門的な溶剤や機械が必要ですので、業者に依頼しましょう。
油汚れ
主に厨房やキッチンで発生します。油汚れは放置すると黒ずみになる可能性があります。
油汚れは中性洗剤を水に溶かして雑巾に染み込ませ、その雑巾で拭き取って乾拭きすれば簡単に落とすことができます。
ただし、付着したばかりの油汚れは発見が難しく、気づいた頃には黒ずみになってしまっているなんてことも珍しくありません。普段から油汚れが付着していないかよく見て確認したり、従業員が油物を食べるときはこぼさないように気を付けるなど、日頃の些細な注意が油汚れの対策になります。
【床の種類別】飲食店の床掃除の流れ
上では汚れの種類別に床掃除の方法を説明しましたが、床がどんな種類なのかによって注意点や床掃除の流れが変わってくることも考えなければなりません。以下でそれぞれ解説していきます。
- ハードフロア
- クッションフロア
- フローリング
- カーペット
- 厨房の床
ハードフロア
タイル・セラミックタイルなどハードフロアの掃除では、まずほうきや掃除機を使ってほこりを除去します。その後、モップ等で水拭きを行ってください。
床の油汚れについては弱アルカリ性の洗剤を使った拭き掃除で十分対応可能です。
一般的に、ハードフロアにはワックスがかかっていますので、1年を目安にワックスの塗り替えを行うと清潔な状態の維持にも繋がります。
クッションフロア
塩化ビニール素材であるクッションフロアに関してはハードフロアと同様、まずはほうきや掃除機で表面のほこりを取り除きます。次に、バケツ1杯の水に中性洗剤を小さじ1程度混ぜて、雑巾に染みこませて水拭きを行い、乾拭きで仕上げましょう。
クッションフロアにはワックスがかかっていませんが、表面に傷や汚れが付きやすいので、清潔な状態の維持のためには専用のワックスをかけることをおすすめします。
フローリング
フローリングの掃除については、乾拭きをするところまではクッションフロアの掃除と方法は同じです。
フローリングに関しては、使用する洗剤やグッズに注意が必要で、場合によってはワックスやコーディングがはがれてしまったり、木材を傷つけかねません。以下にNG行為を掲載しておきますので、行わないように注意しましょう。
- 重曹、お酢、クエン酸を使って掃除する
- カビ取り剤を使う
- メラミンスポンジでこする
- 酸性・アルカリ性の洗剤を多用する
清潔な状態維持の方法としては、無垢材には、ウレタンクリアやウレタンクリア塗装仕上げ、オイル塗装仕上げ、合板には、専門業者によるワックス塗装が効果的です。
カーペット
カーペットは他の床と掃除方法が異なります。
まずは掃除機でほこりを除去し、それでも取れないほこりはゴム手袋を使ってカーペットをなでるようにして取り除きましょう。
カーペットの黒ずみを防ぐには、希釈した中性洗剤を含んだ雑巾で拭き、最後にしっかり乾燥させると良いです。取り外しのできないカーペットであれば、室内をしっかりと換気して生乾きを防ぎましょう。
厨房の床
厨房の床掃除は少し手間がかかり、工程も多いので、以下に流れを簡単にまとめます。
- 表面のごみをほうきや掃除機で除去する
- 中性洗剤を撒き、ブラシでこすり洗いをする
- 流水ですすぐ
- 希釈した塩素系漂白剤を床に撒き、ブラシで満遍なく濡らして10分間放置する
- 流水ですすぐ
- スクイジーで水を切り、乾燥させる
2番目の段階において中性洗剤で汚れが落ちない場合は、油汚れ用の洗浄剤を使用してください。
厨房の床の油汚れは悪臭の発生原因になりやすいため、重点的に掃除を行う必要があります。少し面倒な掃除にはなりますが、我慢強くやり抜きましょう。
グリストラップの清掃も必須!
厨房の床掃除をする中で目につくのがグリストラップ。
グリストラップも掃除を定期的に行わないと悪臭などのトラブルに繋がります。正しい清掃方法を理解しておきましょう。
グリストラップは3つの槽に分かれており、それぞれ適切な清掃方法がありますので、槽ごとに説明していきます。
第1槽
第1槽の機能は、厨房などからの排水に混ざっている残飯や生ごみを取り除くことです。固形物が溜まりやすく、臭いの原因になります。
毎日1回は掃除をして、溜まったごみを捨てましょう。ネットを被せるとごみが取り出しやすくなり、手間が減らせます。
第2槽
第2槽の機能は、油脂を浮かせて溜め、底部に汚泥を溜めることです。
浮かせた油脂はひしゃくやストレーナーなどの道具を使ってすくいあげて除去します。
底面の汚泥は悪臭の原因になります。こちらも油脂と同様ひしゃく等ですくって除去してください。腰を曲げて底面の泥を除去する作業なので負担は大きいですが、臭いのもとになるので、取り残しがないようにしましょう。
掃除の理想頻度は週に2~3回です。揚げ物を多く提供する居酒屋やラーメン店などの油を多く使用する施設は汚れやすいので、特にしっかり掃除を行うことをおすすめします。
第3槽
第3槽の機能は、第2槽を通り抜けた油脂分を分離させて、パイプ状のトラップ管を使って下水への排出を行うことです。
トラップ管と呼ばれる排水管には油脂分がこびりつき、ぬめりが発生しやすくなっています。蓋を外して、ブラシなどを使って内部の汚れをこすり落としてください。
しつこい油汚れの除去は手間がかかりますが、蓄積してしまうと排水管詰まりの原因になるため、念入りに清掃を行いましょう。
最後に蓋を閉めるのも忘れずに。
グリストラップの掃除についての説明は以上です。
飲食店の床掃除にはキングウォーターがおすすめ!
飲食店の床掃除について、事前の準備から汚れや床の種類ごとの掃除方法まで解説いたしました。
汚れや床の特徴を踏まえたうえで床掃除を行わないと、どれだけ時間をかけても汚れが取れないことも少なくありません。本記事を参考に適切な床掃除を行い、清潔な店舗を保ちましょう。
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