飲食店や工場で行う日々の清掃に欠かせない業務用洗剤。頑固な汚れを落としたり、清掃にかかる時間を短縮したりできる洗剤を選ぶためには、洗剤の特徴を把握しておく必要があります。
今回のコラムでは、液性によって異なる洗剤の特性をお伝えするとともに、しつこい汚れを撃退できる、強力なおすすめ業務用洗剤を紹介していきます。
業務用洗剤の魅力とは
業務用洗剤の1番の特徴は、洗浄力の強さです。家庭用洗剤に比べて強力な成分を配合しており、仕事現場で発生するような頑固な汚れにも対応することが可能です。
また、大容量で販売されており、水やお湯で希釈して使用するものが一般的であるため、コストパフォーマンスに優れています。大量の洗剤を頻繁に使用する飲食店や工場で勤務する方にとって、嬉しい魅力であると言えます。
液性による洗剤の違い
以下のように、洗剤は液性によって大きく3つに分類することができます。それぞれ適切な使用用途が異なりますので、順番に解説していきます。
- 酸性
- 中性
- アルカリ性
酸性
酸性の洗剤は、以下のようなアルカリ性の汚れを落とすのに有効です。
- 水垢
- 石鹼カス
- 尿石
- ミネラル成分の汚れ
ミネラル成分の汚れとは、電気ポットやコーヒーメーカーに付着する白っぽい汚れのことを指します。アルカリ性汚れは結晶化して固まっていることが多いため、時間をかけて落とす必要があります。
キッチンペーパーなどに酸性洗剤を染み込ませ、汚れた部分に貼り付けて時間を置いてみてください。固まった汚れに洗剤の成分が奥までじっくり染み込むため、頑固な汚れも除去することができるでしょう。
中性
中性洗剤は優しい成分でできているため、人の肌への影響が少なく、素材を傷める心配もありません。基本的には、場所を問わず使用することができます。
軽度な汚れに対しては中性洗剤を使用し、それでも落ちない汚れがある場合に、酸性やアルカリ性の洗剤を使うのがおすすめです。
アルカリ性
アルカリ性の洗剤は、酸性汚れを落とすのを得意としています。酸性汚れには以下のようなものがあり、べたっとした感触のものが多いです。
- 油汚れ
- 焦げ付き
- 皮脂汚れ
強アルカリ性の洗剤は肌への負担が非常に大きいため、軽い汚れには弱アルカリ性、どうしても落ちない頑固な汚れには強アルカリ性洗剤というように使い分けるのがおすすめです。
また、素材によってはアルカリ性洗剤を使用すると塗装がはがれたり変色したりしてしまう場合があります。アルミニウム製品や車のボディ、ワックス掛けがされているものへの使用は控えましょう。
業務用洗剤を選ぶポイント
ここからは、業務用洗剤を選ぶ際に意識すべきポイントを、洗剤の用途別にご紹介していきます。
洗濯用洗剤
衣類に付着する汚れのほとんどは酸性であるため、洗濯に使用する洗剤はアルカリ性、もしくは中性のものを選びましょう。液体洗剤よりも粉末タイプの方が成分が強く、洗浄力に優れていることが多いです。
ただし、粉末洗剤のデメリットとして、衣服に与えるダメージが大きいことが挙げられます。そのうえ、粉末が水に溶けきらずに残ってしまうとカビの原因となりかねません。普段使いには液体洗剤、しつこい汚れに対しては粉末洗剤を使用することをおすすめします。
食器用洗剤
食器や調理器具に付着する油汚れや食べ残しは酸性汚れであるため、弱アルカリ性の洗剤が適していると言えます。また、界面活性剤が多く含まれており、洗浄力が高い中性洗剤も多くあります。
しかし、食器用洗剤は素手で触れる時間が長いため、汚れに強い洗剤ほど肌荒れする可能性があることには注意が必要です。洗浄力と肌への負担のバランスを考慮して選ぶと良いでしょう。
その他
洗濯洗剤や食器用洗剤の他にも、トイレや水回り、油汚れの清掃に特化した業務用洗剤が多く販売されています。場所や汚れの程度に適した洗剤を選ぶことで、効果的に汚れを落とすことができるでしょう。
アルカリ性の汚れが多いトイレの清掃には酸性洗剤、皮脂汚れが付着しやすい窓ガラスには弱アルカリ性や中性の洗剤というように、汚れの性質に合わせて選んでみてください。
おすすめの業務用洗剤11選
ここからは、おすすめの業務用洗剤をご紹介していきます。
アタック消臭ストロングジェル（洗濯用）
4キロ単位で販売されている、界面活性剤を含んだ弱アルカリ性の液体洗剤です。黄ばみ防止成分や高浸透洗浄成分を含んでおり、洗浄力が高いという特徴があります。1番の強みは、尿臭の発生を抑える「尿臭ブロッカーEX」という成分を配合していることです。
一般的な洗濯洗剤を使用すると、洗剤の香りと尿臭が混ざって不快なニオイが発生することが多くあります。しかし、アタック消臭ストロングジェルは、洗剤の香りでごまかさずに消臭することが可能で、介護の現場からも高い評価を受けています。
花王プロフェッショナルワイドハイター（洗濯用）
花王株式会社が取り扱っており、4.5L単位で販売されている液体の衣料用漂白剤です。洗濯機に入れたり、汚れに直接かけたりするだけでなく、水やお湯で薄めて衣類をつけ置きすることもできます。
水に濡れて生じる臭い戻りの原因となる「蓄積臭」にアプローチできるため、ニオイがしつこく残りがちな、飲食店のコック服やエプロンの洗浄に適しています。漂白剤ですが、色柄物に使用しても問題ありません。
トップスーパーナノックス（洗濯用）
ライオン株式会社が取り扱う、4キロ単位で販売されている液体洗剤です。中性洗剤ですが、洗濯成分が約7割含まれており、非常に高濃度であることが大きな特徴だと言えます。
高濃度なため洗浄力に優れており、以下の5大汚れにアプローチすることができます。
- エリそで黒ずみ
- 皮脂・汗臭
- 黄ばみ
- 油性食べ残し
- 水性食べ残し
中性洗剤ヤシノミ洗剤（食器用）
3キロ、もしくは5キロ単位で販売されている中性洗剤です。香料や色素を含まない天然のヤシの実から作られており、手肌にも環境にも配慮された商品だと言えます。さらに、野菜や果物にも使用することができます。
400倍希釈が推奨されており、コストパフォーマンスに優れているのも特徴です。また、洗剤を流す際の排水は微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、有害な物質を排出することがありません。
引用：中性洗剤ヤシノミ洗剤
緑の魔女キッチン（食器用）
ミマスクリーンケア株式会社が取り扱っている、ドイツ生まれの商品です。2L、5L単位で販売されています。果実酸AHAを配合した弱酸性の洗剤であり、天然植物由来の界面活性剤を含んでいるなど、手肌への負担が少ないことが大きな魅力です。
排水が汚染されることがないだけでなく、排水が流れることでパイプをきれいにしてくれるという嬉しいメリットもあります。
ライオン パワロンS
4.5キロ、もしくは18キロで販売されているため、洗剤を大量に使用する方におすすめしたい商品です。中性洗剤ですが、界面活性剤を含んでいるため洗浄力が高く、油汚れを落とすのに適しています。
また、泡切れが良く、すすぎやすいという特徴があります。リンを含んでおらず、野菜や果物にも使用できる優しい成分の洗剤です。
グリドルクリーナー
シーバイエス株式会社が取り扱っている、5Lで販売されている洗剤です。グリドルやフライヤー、オーブングリルといった場所の頑固な焦げ付きに対しても、効果的にアプローチすることができます。
アルカリ性で洗浄力に優れた洗剤ですが、リンを含んでおらず、中性洗剤並みにすすぎやすいことが特徴です。
引用：グリドルクリーナー
キングウォーター
あらゆるタンパク質汚れをしっかり落とせる、アルカリ性の万能洗剤です。4L、10Lで販売されており、非常にコスパが良いという特徴があります。家庭から飲食店や工場まで、あらゆる場面で使用することを想定して作られています。
高濃度のアルカリ水が汚れを分解してくれるため洗浄力に優れており、除菌や消臭、防サビ効果もあるのが強みです。
引用：キングウォーター
ニューケミクール
株式会社ニイタカが販売しているアルカリ性洗剤です。厨房内にこびりつく頑固な油汚れに特化しています。界面活性剤だけでなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムという2つの強力なアルカリ剤を含んでおり、洗浄力が非常に高いことが大きな特徴です。
ごしごしこすらなくても楽に汚れを落とすことができるため、掃除する際の負担を軽減してくれる優れ物だと言えます。
引用：ニューケミクール
ブレークアップS
5L、18Lで販売されているアルカリ性の洗剤で、ラードやヘッド、植物油など、あらゆる油脂汚れに特化しています。
容器に含まれているシリケートという成分の緩衝作用によって液体の老化を防ぐことができるため、洗浄力が長く持続するのが強みです。大容量のものを購入しておき、期限を気にせず少しずつ使用することもできます。
引用：ブレークアップS
LindaグリラーNEO
横浜油脂工業株式会社のLindaグリラーNEOは、4キロ、10キロ、20キロで販売されています。グリスフィルターやレンジフードの油にもアプローチできる、強力な油脂洗浄剤です。
強アルカリ性であり、浸透剤や溶剤で確実に油汚れを落とします。従来製品と比べて泡切れが改善されていることも特徴です。すすぐ時間を短縮できるため、作業効率をアップさせられます。
業務用洗剤を安全に使用するには？
洗浄力に優れた業務用洗剤ですが、強い成分を使っていることから、安全に十分配慮して使用しなければなりません。多くの洗剤では、パッケージの裏に使用時の注意事項が書かれています。それらをよく読み、正しく使用してください。
万が一の事態を防ぐには、ゴム手袋やマスク、保護メガネを着用したり、入念に換気を行ったりすることが有効です。
掃除する場所に合った業務用洗剤を選ぼう
多くの種類がある業務用洗剤ですが、液性や洗浄力、価格はそれぞれ異なります。自分がきれいにしたい場所や汚れの程度に合った業務用洗剤を選び、日々の清掃をぐっと楽にしてみてはいかがでしょうか。
