新型コロナウイルスの感染対策として、多くの施設や店舗で導入されているアクリル板(アクリルパーティション)。設置しただけで安心していたり、掃除方法が分からず放置したりしていませんか?

ガラスのように透明で、しかしガラスよりもずっと柔らかいアクリル板は傷やほこりがつきやすく、気付いたら傷だらけだった…という方もいるのではないでしょうか?
透明だからこそ汚れが目立ち、店舗全体の印象に関わってきます。

このアクリル板ですが、設置後のお手入れには少しポイントがあるのです。

今回は、正しい清掃方法をご紹介していきます。

  1. アクリルパーティションの手入れ方法
  2. アクリル板の間違った清掃方法
  3. 掃除後は手洗いを
  4. アクリル板の手入れも忘れずに

アクリルパーティションの手入れ方法

「外食業の事業継続のためのガイドライン」では、飛沫感染対策でテーブル・カウンター席ともにアクリル板の設置が推奨されています。

お客さまが安心して利用できるように何十枚も導入した店舗も多いでしょう。
何枚も設置されているアクリル板の清掃は大変ですが、日々の清掃は衛生的に保つという目的だけではなく、長く利用することにも繋がります

しかし、アクリル板は手入れ方法によっては拭いた部分が曇ったり、割れてしまう可能性があるのです。

では、どのように清掃するのが良いのでしょうか?実際の手順も合わせて見ていきましょう。

中性洗剤を使用する


アクリル板の掃除には台所用洗剤などの中性洗剤がおすすめ。これは、各メーカーも推奨している方法です。

中性洗剤は油汚れに強く、手垢や食事中の汚れにも効果が期待できます

また、中性洗剤は静電気対策にも一役買ってくれるのが嬉しいポイント。

アクリル板は、静電気を発生させやすい性質を持っています。静電気は、ほこりだけではなく新型コロナウイルスなども引き寄せてしまうのです。

中性洗剤を使った掃除手順

  1. ごみをきれいにとる
  2. 水拭きする
  3. 洗浄液に浸した布でふく
  4. しっかりと水拭きする

表面にごみがついたまま、水拭きを行うと傷がつく可能性があります。まずは、アクリル板に付着したごみを取り除いてから水拭きを行いましょう。

洗浄液は、ぬるま湯に数滴中性洗剤を入れるだけ。

清掃のポイントは、中性洗剤を使用した後はしっかりと水拭きをすること。洗剤の洗い残しがあると跡がついてしまう場合があります。もし、水洗いできるようであれば、しっかり洗い流すのがおすすめです。

アクリル板の間違った清掃方法

誤った清掃方法は、アクリル板を劣化させてしまいます。
感染症の拡大は長期化しており、出来れば長く使いたいもの。

間違えやすい清掃方法を抑え、正しく手入れしましょう。

アルコールを使用するのはNG

アルコールはNG
新型コロナウイルスの感染予防としても使用されているアルコール消毒。机やドアノブ、メニュー表などお客様が触れる可能性のある場所はアルコールでの消毒が必須です。その流れでアクリル板にもアルコールを吹きかけて掃除をしていませんか?

実は、アルコールを使用したアクリル板の清掃はNG。

白く濁ったりや割れが起きる可能性があります。これは「ケミカルクラック」といわれる薬品によるアクリル板の劣化です。

万が一、ケミカルクラックが発生した場合はすぐに処分をしましょう。耐久性に問題があるため、割れてお客様がケガをする恐れもあります。

安全性から見てもアルコールは危険


また、もう一点アルコールの使用をおすすめできないのは安全性の理由から。
消毒には濃度の高いアルコールを使用します。可燃性のアルコールをアクリル板に吹きかけるのは非常に危険な行為でもあるのです。

例えば、焼き肉店や対面式のキッチンの前に設置されたアクリル板をアルコール消毒した場合をイメージしてください。変形してしまったり、吹きかけた時に最悪、引火する恐れもあります。

飲食店でのアルコール消毒の取り扱いには注意が必要です。

ケミカルクラックを防止する方法

ケミカルクラックは、以下2つの条件で発生しやすくなります。

  • 表面に多くのアルコールが付着した
  • 長時間放置した

アクリル板に直接噴射せず、布に少しだけ吹き付けて使用すれば理論上ではケミカルクラックを避けることが可能です。

ただし、レーザーで断裁アクリル板の断面にアルコールが付着するとヒビが入りやすいという特徴があったり、吹き付ける量の加減が難しかったりするので、完全にケミカルクラックを防ぐのは難しいでしょう。

劣化を防ぎながら清掃を行うのであれば、中性洗剤を使用するのが無難です。

ガラスクリーナー、住居用クリーナー、静電気クリーナーはNG

アクリル板は透明なのでガラスのような感覚で拭いてしまわないように注意。
クリーナーを使用すると、アルコールと同様にケミカルクラックを起こし劣化の原因になります。

乾いたタオルでゴシゴシと拭く

柔らかい材質のため、乾いたタオルなどでゴシゴシと拭くと傷がつくことがあります。
柔らかい布を濡らし、固く絞ってから拭き取りましょう。

掃除後は手洗いを


新型コロナウイルスの拡大により清掃する機会がぐんと増えました。

アクリル板には新型コロナウイルスが付着していることがあるため、清掃時にはビニール手袋とマスクを装着し、終わったら手洗いを必ず行いましょう。

厚生労働省のガイドラインにも以下のように示されています。

手や指についたウイルスの対策は、洗い流すことが最も重要です。手や指に付着しているウイルスの数は、流水による15秒の手洗いだけで1/100に、石けんやハンドソープで10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐと1万分の1に減らせます。

日々の清掃で感染してしまっては意味がありません。忙しくても手洗いは欠かさず行ってください。

アクリル板の手入れも忘れずに

飛沫対策として身近になったアクリル板。しかし、設置しただけではウイルスが付着したままで感染予防としては不十分です。常に清潔な状態を保つためにも正しい清掃方法で、安心安全に飛沫防止策を実施していくことが重要。

お手入れ方法を間違えると劣化の原因となりますが、特別に用意するものも無く簡単に掃除を行えるのは嬉しいポイントです。

汚れ落としと静電気への対策を同時に行える中性洗剤を使って、日々のお手入れをしていきましょう。