新型コロナの感染対策として、なるべく外出せずにおうちでの暮らしを送っている人も多いのではないでしょうか。
ずっと部屋にこもっていると忘れてしまいがちなのが換気。
特にリモートワークなどお仕事の作業をしているとなかなか目を配れない点ではありますが、空気の入れ換えにはメリットがたくさんあるんです。
今回のコラムでは、空気を入れ換えることのうれしい効果や部屋をより効率的に換気するためにポイントについてご説明します。
換気のメリットは大きく5つ
作業に疲れた時に部屋の窓を開けて空気を入れ換えると、すっきりした頭に切り替えることができますよね。
こういった効果以外にも、換気には様々なメリットがあります。
- 室内の空気をきれいに保つ
- 除湿してカビを防止する
- ハウスダストやウイルスの除去
- 結露の防止
- リフレッシュ
換気は健康を保つためにも意義のあること。適切に行うことの大切さがわかりますね。
室内の空気をきれいに保つ
日本大百科全書(ニッポニカ)によると、「換気」とは「室内の汚染空気を新鮮な外気と交換すること」を指しています。
室内の汚れた空気と室外の新鮮な空気を入れ換え、循環させることは、エアコンなどの空調設備や空気清浄機にはできません。
汚れた空気ってどんなもの?
汚染空気にはいろいろな物質が含まれます。
- 二酸化炭素
- 一酸化炭素
- 窒素酸化物
- ホルムアルデヒド
- ハウスダスト
現代の住宅は年中過ごしやすさを保つため、気密性や断熱性が昔の家より高くなっています。
その分、定期的に自分で窓を開けて空気の入れ換えをする必要があるのですね。
汚染空気と「シックハウス症候群」
シックハウス症候群は、空気汚染が原因となって人体に発生する症状のことを言います。
もとは建物に「ホルムアルデヒド」という物質を含んだ接着剤などが使用され始め、様々な健康被害を訴える人が増えたところに由来しています。
合板の接着剤にもホルムアルデヒドが含まれています。リフォーム後に体調不良を訴える人が多かったのはこのせい。
シックハウス症候群の症状は
下のような症状が一例。アレルギーなどに似ているものが多いですね。
- 目やのど、鼻が乾燥する、ムズムズする
- くしゃみ、せき
- ぜん鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという息)
- 鼻水や涙が出る
- 皮膚の乾燥や赤み、ピリピリ感
- 疲労感
- 眠気、集中力の低下
- 頭痛
- めまい
- 吐き気
特定の症状はなく、人によって愁訴が違います。
外出時は何ともないのに家に帰ってくると調子が悪い、という人は、部屋の換気状況を疑ってみましょう。
除湿してカビを防止する
換気時は汚れた空気と一緒に湿気を排出するので、カビ防止の効果も期待できます。
食べ物の湯気や加湿器、部屋干し中の洗濯物などが湿気の原因。こもった湿気のせいで部屋の中に溜まったほこりが湿ると、カビの原因となります。
健康被害だけでなく家の劣化にもつながるので、カビを防ぐために十分な換気をしましょう。
ハウスダストやウイルスの除去
ウイルスは言わずもがな、ハウスダストがまん延した部屋の空気を吸い続けるとアレルギー症状やぜんそくを引き起こす可能性が高まります。
ハウスダストとは
ハウスダストは生活の中で発生する小さな室内ちりのこと。非常に軽く、人の動きや移動などで舞い上がって空気中を漂います。
ハウスダストとなる物質の種類は以下のようなもの。
- 衣類の繊維のクズ
- ダニの死骸やフン
- 食品くず
- 目に見えない垢
- ペットの毛
- カビ
花粉やPM2.5(ホルムアルデヒド)、細菌やウイルスでなくても、身近なものが健康被害に直結することもあるのです。
赤ちゃんや小さな子どものいる環境などは特に注意が必要。それ以外のご家庭でも、ハウスダストの構成物を見ると心配になりますよね……。
最近はキッチンやお風呂など水場以外にも換気扇を設置し、空気の循環ができるようにしているお宅も多いようです。
新型コロナと換気
これまで換気と言えばインフルエンザの対策でしたが、今世間で最も関心が集まるウイルスと言えば、間違いなく新型コロナウイルスでしょう。
コロナウイルスの感染リスクを高める「3密」のうちひとつは「密閉」。つまり、換気ができておらず空気の入れ換えがない空間です。
政府が専門家の意見を取り入れて商業施設等の管理権原者向けに注意喚起した文書では、窓を開けて換気する際のポイントとして以下の点があげられています。
- 回数の目安は30分に1回以上(1時間に2回)、数分間程度窓を全開する。
- 空気の流れを作るため、複数の窓がある場合は二方向の壁の窓を開放する
- 窓が一つしかない場合は、ドアを開ける
映画館のような一見換気が難しそうなつくりの施設でも、きちんと空気の入れ替えができるシステムになっているのだとか。
自宅なら窓を開けるだけですので、家庭内感染を防ぐためにもこまめに取り組みましょう。
結露の防止
結露の原因は、外気と室内の空気の温度差。
冬場に暖房で温まった部屋の空気と冷えた外の空気が影響して窓に結露ができているところをよく見ますよね。
実は、暖房だけでなく湿度も寒暖差を生じさせる要因になるのです。
結露のメカニズム
呼吸や湯気など、部屋には水蒸気が発生する源がたくさん存在しています。この水蒸気を放置すると部屋の湿度が高くなります。
空気が水蒸気を含める量の限界は決まっており、温度が下がると水蒸気を含む限界量も少なくなる性質があります。
水蒸気を含めなくなった空気をさらに冷やすと、余った水蒸気が「水滴」と「熱」になって放出されます。
この水滴が結露です。
結露の放置はダメ
結露は水ですから、当然放置しておくと建物の劣化やカビの原因にもなります。カビはダニの餌になるため、ダニの繁殖にもつながってしまいます。
ダニはハウスダストのひとつですので、結果的に換気を怠ることでハウスダストの原因を増やしてしまっているのですね。
新鮮な空気でリフレッシュできる
部屋の中に新鮮な空気を取り込み、こもった古い空気や嫌なニオイを排気することでストレス解消やリフレッシュ効果も期待できます。
たかが空気の入れ換え、と侮ってはいけません。
少し窓を開けてみただけで空気の質が全然違うのがわかるのではないでしょうか。
お掃除の時だけでなく、定期的に換気をして部屋の空気を新鮮なものにしましょう。
汚染空気の目安は
換気が十分でない部屋の空気は、新鮮さがないため比較的誰でもすぐ気づきやすいものです。
私たちの呼吸には空気が必要不可欠ですが、汚染された空気を吸い込んでしまうと体に悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。
以下のことが自分の部屋に当てはまるか、チェックしてみましょう。
愛車や社用車など、車内に思い当たる節がある場合も要注意。
- 空気が重たくこもった感じがする、外の空気と感じ方が違う
- 室内の熱気、においが気になる
- くしゃみや鼻水、せきが出やすい
- 部屋の壁紙にシミができやすい、カビ臭い
- 窓などに結露ができやすい
換気ができていない部屋は脱臭や室温調整、除湿ができておらず、新鮮な酸素が供給できていない状態です。
きれいな空気を取り入れて過ごそう
大切なご家族の住まい、どうせ毎日暮らすならきれいにしておきたいですよね。
お掃除の徹底ももちろん大事ですが、空気にも目を向けてみて。
特別な機械がなくても実践できることから、新型コロナウイルス対策の習慣としてもおすすめです。