建築関係の現場や工場などで着用されることが多い作業服。頑固な汚れがなかなか落ちないとお悩みの方も多いのではないでしょうか。
今回のコラムでは、作業服に付着する汚れをきれいに落とす方法について解説していきます。作業服を洗濯する際のポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 作業服の汚れを落とす際に必要な前処理
- 作業服に付着する汚れの種類
- 作業服の汚れの落とし方とは
- 作業服を手洗いする際の注意点
- 作業服を洗濯する際のポイント
- 作業服の汚れを減らすコツ
- 汚れの種類に合った方法で作業服を洗おう
作業服の汚れを落とす際に必要な前処理
作業服の汚れを落としやすくするためには、きちんと前処理を行うことが大切です。
まずは、作業服に付着しているホコリや泥などの汚れをはたいて取り除きましょう。細かい汚れがついたまま洗い始めると、ホコリが作業服に染み込んでしまったり、洗剤の成分が汚れに浸透しにくくなったりする可能性があります。
ある程度汚れをはたいたら、洗剤を溶かした40〜60℃のお湯に1時間程つけ込んでください。時間が経過すると、つけ置きで使用した水に汚れが溶けだしてくるはずです。濁った水を捨てて、汚れが出てこなくなるまで繰り返しきれいなお湯につけ込みましょう。
作業服に付着する汚れの種類
作業服に付着する汚れは、以下のように3種類に分類できます。
- 油性汚れ:皮脂、機械油、食用油など
- 不溶性汚れ:泥、すす、ホコリなど
- 水溶性汚れ:飲み物のシミ、汗など
ちなみに、先程ご紹介した前処理の段階で作業服をはたいて落とすのは、不溶性の汚れです。泥やホコリは水にも油にも溶けないため、作業服の繊維から物理的にかき出す必要があります。
作業服の汚れの落とし方とは
作業服に付着しやすく、落ちにくい以下のような汚れを除去する方法をご紹介していきます。
- 泥汚れ
- 油汚れ
- 草汚れ
泥汚れ
お伝えしているように、泥は不溶性の汚れであるため、洗剤の力で取り除くことはできません。泥汚れがついた作業服を洗剤で洗ったり洗濯したりすると、泥が作業服に染み込んでしまう可能性があるため、つけ置きする前に落としきってしまうのがベストです。
泥汚れは、小さな砂の粒が作業服の繊維に入り込むことによって形成されます。作業服に限らず、一般的な衣類は強度を上げるために繊維をねじって作られるため、ねじれた繊維に入り込んだ小さな砂粒は、なかなか取り除けません。
洗濯ブラシを使って物理的に取り除くのが、泥汚れの最も効果的な落とし方です。ある程度汚れをかき出したら、固形石けんを直接塗り、ブラシでこすってみてください。
また、湿った状態の泥をこするとかえって汚れが広がってしまいます。泥が完全に乾いてからブラシでかき出すようにしましょう。
油汚れ
作業服についた油汚れは油が固まって付着したものです。そのため、お湯で融かすと格段に落としやすくなります。あくまでも目安ですが、油の融点(固体から液体に変わる温度)は以下の通りです。
- 動物油:約40℃
- 植物油:約60℃
- 機械油:約50℃
融点よりも高い温度のお湯につけ置きすれば油は溶けるため、汚れの種類がわからない場合は、約60℃のお湯でつけ置きすると確実です。
ここからは、油汚れの落とし方を原因別に詳しくご紹介していきます。
- 機械
- 食べ物
- 皮脂
機械
機械油による汚れは、固まって繊維に絡みつくため特に落ちにくいです。つけ置きする際には、酸性の油を分解するのに適したアルカリ性洗剤を使用することをおすすめします。以下のような手順で汚れを落としてみてください。
- アルカリ性洗剤を溶かした50~60℃のお湯に洗剤を入れて1~2時間つけ置きする
- つけ置きしている液体に油汚れが浮いてきたらブラシでこする
- 洗濯機で洗う
洗濯機を使用する際には、40℃以上のお湯を使うと残った油汚れが溶け出しやすくなり、さらに効果的に汚れを落とせます。
食べ物
食べ物による油汚れは、時間が経つにつれてどんどん落ちにくくなります。以下のような手順を踏むことで、こびりついた汚れにもアプローチすることが可能です。
- 汚れが付着している部分に直接食器用洗剤を塗りこむ
- 揉み洗いする
- 洗濯機で洗う
多くの食器用洗剤には、食べ物の油汚れに有効な界面活性剤が含まれています。そのため、洗濯洗剤よりも食器用洗剤を使用する方が汚れが落ちやすい場合が多いです。
皮脂
服の黄ばみの原因となる皮脂汚れ。ホコリが付着して黒ずんでしまうとさらに頑固になります。汗が染み込みやすい襟元や脇の部分の黄ばみ、黒ずみに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
- 黄ばんだ部分をぬるま湯につける
- 皮脂汚れに直接クレンジングオイルや食器用洗剤を塗りこむ
- 揉み洗いする
- ぬるま湯で洗い流して洗濯機で洗う
上記のような手順で汚れを落としてみてください。
また、クレンジングオイルや食器用洗剤をつけすぎると、作業服が色落ちしてしまう可能性があるため注意しましょう。
草汚れ
草の色素による緑色の液体が付着してしまうのが草汚れです。水溶性、油溶性、色素の汚れが混ざっており、非常に厄介な汚れだと言えます。
- クレンジングオイルで油分を溶かす
- 浮いた油汚れと水溶性の汚れをお湯で洗い流す
上記のように、油溶性の汚れ→水溶性の汚れの順番で汚れを落としていきましょう。クレンジングオイルを用いても汚れが落ちない場合には、代わりにベンジンや液体酸素系漂白剤を使ってみてください。
作業服を手洗いする際の注意点
作業服をブラシでこすったり手で揉み洗いしたりする際の注意点を解説していきます。
- 必要に応じてゴム手袋を着用する
- 作業服の表記を確認する
必要に応じてゴム手袋を着用する
ぬるま湯や洗剤を使った揉み洗いを素手で行うと、本来手が必要とする油分まで一緒に洗い流されてしまいます。手のバリア機能が弱まることで手荒れに繋がるかもしれません。肌が敏感な方が作業する場合など、必要に応じてゴム手袋を着用することをおすすめします。
作業服の表記を確認する
- 〇℃以上のお湯につけてはいけない
- 漂白剤を使用できない
- 日なたに干せない
作業服の中には、上記のような表示がされているものもあります。表示を守らないと作業服が傷んでしまう可能性があるため、作業服を洗う前に必ず品質表示を確認するようにしてください。
作業服を洗濯する際のポイント
手洗いして汚れをある程度取り除いたら、洗濯機で洗っていきます。作業服を洗濯機で洗う際に注意しておきたいポイントをご紹介します。
- 脱水する時は途中で1度取り出す
- すすぎ回数を多めに設定する
- できる限り短時間で乾かす
脱水する時は途中で1度取り出す
作業服は厚手のものが多く、洗濯機での脱水が完了するまでにかなりの時間がかかります。しかし、長い時間脱水し続けているとシワができやすくなってしまいます。
脱水の途中で作業服を一度取り出し、軽くたたんでから再度脱水するとシワを防止できます。また、乾いたタオルと一緒に脱水すると、完了するまでの時間を短縮することが可能です。
すすぎ回数を多めに設定する
作業服の頑固な汚れを落としきるためには、洗濯機のすすぎ回数を増やすことも有効です。
前処理の段階で作業服をつけ置きする際、何度もお湯を交換すると汚れが浮き出てくるようになるとお伝えしました。洗濯機のすすぎに関しても同様で、すすぎ回数を多めに設定すると水がきれいなものに入れ替わる回数が増えるため、汚れが落ちやすくなります。
できる限り短時間で乾かす
作業服に限らず、衣類を湿ったまま長い間干し続けていると雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。そのため、できる限り短時間で乾かすことが望ましいです。室内で干す場合は、洗濯物の下に除湿機や扇風機を置いて風を当て続けることをおすすめします。
また、干す前に作業服のシワを伸ばしておくと、乾いた後にアイロンをかける手間を削減することができます。
作業服の汚れを減らすコツ
作業服に汚れが付着するのを予防する対策をご紹介します。
加工された作業服を選ぶ
汚れが付着しにくい、あるいはこびりついた汚れを落としやすいよう加工された作業服を選ぶと、作業服を清潔に保ちやすくなります。以下のような加工がされた作業服を選んでみてください。
- 撥水・撥油加工
- ソイルリリース加工
撥水、撥油加工がされた作業服はシリコンやフッ素が表面にコーティングされており、汚れが繊維に染み込みにくくなっています。頑固な汚れが付着するのを防ぎたい方におすすめです。
水を浸透しやすくするソイルリリース加工がされた作業服は、水洗いすると繊維の間を水が通過し、汚れを繊維から剥がしてくれます。しかし、水溶性の汚れを苦手としているため注意が必要です。
スプレーやパウダーを活用する
防水、撥水スプレーで作業服をコーティングするのも良いでしょう。撥水加工された作業服と同じように、汚れを染み込みにくくすることができます。また、汗や油を吸収してくれるベビーパウダーをつけておくと、皮脂汚れによる黄ばみを防ぐことが可能です。
汚れの種類に合った方法で作業服を洗おう
毎日着用してどんどん汚れていく作業服ですが、汚れの種類を見極めて適切な洗剤を用いれば、こびりついた頑固な汚れも落とすことが可能です。また、ポイントを押さえて洗濯機を利用すれば、洗浄や乾燥をより効果的に行ってくれます。
今回ご紹介した方法を実践して、清潔な作業服を着用して仕事のモチベーションを上げてみてはいかがでしょうか。