わたしたちの身近にある電磁波ですが、どんなもの? と言われたら説明するのは難しいですよね。

通信に役立てられる電磁波。しかしその「波長」の種類によって、無線機に使われるものからテレビ放送、こたつ、電子レンジまでと、向いている用途には大きな差があるのです。

今回のコラムでは、この電磁波と波長についての知識を取り上げます。どんな種類の電磁波があるのか、何に使われているのかが分かりやすい一覧も記載しました。

  1. 電磁波ってなに?
  2. 電磁波の種類一覧
  3. 電磁波には様々な種類がある

電磁波ってなに?

そもそも、電磁波とは電気の力が働く「電界」と磁気の力が働く「磁界」が互いに影響しあって振動が生じ、波のように伝わる現象のことをいいます。

私たちの身の回りにある電波や光などは電磁波の種類のひとつです。

電界とは?

「電界=電圧のかかっている場所(電気のある場所)」と捉えるのがよいでしょう。

家電製品や送電機はもちろん、日常生活で感じるような微弱な静電気の周りにも発生しています。

電気を発生させている源から離れると、電界の強さは急激に弱まります。

磁界とは?

「磁界=磁器の力が働く場所(磁気のある場所)」です。

こちらも電気が発生する送電機や家電製品の周りなどに発生します。もちろん磁石の周りにも発生しますし、地球そのものにも発生しています。

磁気の源から離れると、磁界の強さは急激に弱まります。

電磁波の伝わり方は水面の波と近い

池や大きな水たまりなど、穏やかな水面にものを投げ込んだら波紋が広がっていくのを思い出してください。

水面に山の部分と谷の部分ができ、交互に繰り返すことで山と谷の高さを低くしていきながら遠くへと伝わります。

電磁波の伝わり方は、この波紋の広がり方のような性質を持っています。

電磁波の種類を決める波長

電磁波の「波長」とは、波の1周期の長さのことを指しています。

上で説明した波紋の例であれば、山と山もしくは谷と谷の間隔が当てはまります。

無線や通信、インターネット回線などにはその特性を生かして適切な波長が用いられています。

よく聞く周波数、ヘルツってなに?

ヘルツ(Hz)は「周波数」の単位です。

周波数は1秒間に波が発生する回数のことを指します。1秒間に450回波が発生すればその周波数は450ヘルツですし、3秒間に900回波が発生していたらその周波数は300ヘルツです。

ちなみに、一般的に電磁波のうち周波数が3テラヘルツ以下のものを「電波」と呼びます。

電磁波の種類一覧

電磁波は波長や周波数によって、性質や特徴に大きく違いが生じます。

身近なところで言えば、温熱効果がある赤外線や物を透過する性質からエックス線撮影に使われるエックス線、太陽から降り注ぎ殺菌効果を持つ紫外線など、その種類は多用です。

ここからは主な電磁波の種類とその用途について見ていきましょう。

放射線

放射線は波数が3,000,000GHz(3千兆ヘルツ)以上の高エネルギー電磁波です。

医療に用いられることが多いですが、大量に浴びた場合遺伝子を傷つけるなど身体に害を及ぼすため、取り扱いには細心の注意が必要です。

ガンマ線

がんにおけるガンマ線(放射線)治療や材質検査などに使われます。

虫眼鏡で光を集めるようにレーザーを一点集中させることで、周囲の細胞に影響を与えず腫瘍や病巣部を切り取る治療が行われています。

エックス線

健康診断などで受けるエックス線撮影(レントゲン検査)や、建造物などを壊さずにその欠陥や劣化を調べる「非破壊検査」などに使われます。

エックス線とガンマ線は、エネルギーの大きさというより発生の仕組みによって分けられています。

約3,000GHz(3兆ヘルツ)~約3,000,000GHz(3千兆ヘルツ)の範囲内に該当する電磁波の事を「光」と総称します。

私たちの生活に身近で聞き馴染みのある言葉も多いですね。

紫外線

太陽から降り注ぐ電磁波で、殺菌効果があることから殺菌灯に使われるほか、日常生活においても天日干しでの菌類除去が知恵として伝わっています。

人体に悪影響を及ぼすことがあり、ヒトの皮膚などに当たると体を守るための色素「メラニン」が活性化します。

可視光線

望遠鏡や顕微鏡、カメラなどの光学機器に活きる電磁波です。

ヒトの目に見える光で、波長の違いによってヒトは異なった色を認識します。波長の短い順から紫、青紫、青、青緑、緑、黄緑、黄色、橙色、赤の順とされています。

赤外線

「赤外」という名前の通り、赤の可視光線よりもさらに波長が長い電磁波です。

温熱効果があり、ヒーターなどに使われます。また、絶対0 度以上のすべての物体から放射され、その放射量は物体によっても異なるので、人体・物体検知やリモートセンシングなどにも活用されています。

電波

通信機器などに使われることが多い電波は、約3,000Hz~約300GHz(3千億ヘルツ)の間に位置しています。

サブミリ波

レーダーや天体望遠鏡のほか、非破壊検査やボディスキャナーなどにも使われます。

光に近く遠赤外線の一部として扱われるほか、直進性が強いが空気中の水蒸気によって弱まっていくという特徴があります。

マイクロ波

波長域が短いことから「マイクロ波」の名前がついています。

応用分野がとても幅広く、テレビや携帯電話、BSやCSといった衛星放送、電子レンジ、無線LAN、レーダーなど身の回りの様々なものに使われています。

超短波

FMラジオ放送、航空管制、業務用通信などに使われる電磁波です。

地表面に沿って伝達する超短波は弱まりやすく安定しないため、アンテナを使って交信することが必要になります。

短波

アマチュア無線や軍事無線、「NHKワールド」などの国際放送で用いられます。また、改札などで用いるタッチ式ICカードに使われるのも短波です。

中波

中波はAMラジオ放送やラジオビーコンなどに使われます。

分類される周波数の範囲が広いので分類内においても安定しやすい環境や使用用途などが異なります。

長波

道路交通情報ビーコンなどに使用される長波には、緯度が高い地域で地表面の電磁波が安定して利用できること、大きな電力がかかる送信機を比較的制作しやすいという特徴があります。

超長波

伝搬距離が長く弱まりにくいこと、水の中でも伝わることから、潜水艦用通信や船舶用無線航行システムに使われます。

そのほか、IHクッキングヒーターにも用いられています。

さらに周波数が少ない「極超長波」になると、海底探査などで活躍します。

超低周波

1~300ヘルツ程度のエネルギーが微弱な電磁波のことを超低周波と呼びます。電力設備や家電製品などから発生していますが、ヒトが意識的に感知することはできません。

細胞内の遺伝子を傷つけるなどといった作用はありませんが、超低周波が広がる電化製品の近くなどで体調が悪化する「電磁波過敏症」を訴える人もいます。

科学的な原因ははっきりしていません。

電磁波には様々な種類がある

私たちの身の回りにある赤外線や電波と一見有害なものにも思える放射線は、実はすべて電磁波の一種。

波長や周波数など、少しの違いで差が生じます。

電磁波の捉え方を見直すことで、生活に活かせる場面があるかもしれませんね。