お客様が飲食店に求めるものは、時代とともに変化しています。 新型コロナが流行する以前は、とにかく早い、安い、美味しいお店が繁盛していました。 しかしコロナ禍が続く今、お客様は衛生管理や感染対策を重視して飲食店を選んでいます。

現代のお客様に選ばれるお店になるために、店内の清掃には力を入れたいものです。 チェーン店や従業員の多いお店を清潔にキープするためには、清掃マニュアルが必要不可欠です。

従業員に共有しやすい清掃マニュアルを作るには、どんな点に気を付ければよいのでしょうか?

  1. 飲食店で清掃マニュアルを作るメリットとは
  2. クレンリネスって何?飲食店の清掃に必要な考え方
  3. 実行しやすい清掃マニュアルを作る7つのポイント
  4. 掃除道具について注意したいこと
  5. まとめ

飲食店で清掃マニュアルを作るメリットとは

飲食店の清掃マニュアルは、清掃の手順を従業員に伝えることのほかに、3つの役割を持ちます。

店舗、従業員に関わらず正しい清掃ができる

従業員によって、”きれいに清掃できているか”という視点はバラバラです。 1人1人が違う基準で清掃すると、お店の清潔さが都度変わってしまいます。

マニュアルがあると、”マニュアルの基準を満たしているか”という共通の視点ができます。 誰が担当しても、同じ基準で清掃に取り組むことができます。

チェーン店であれば共通のマニュアルを作り、店舗の状況に応じて改善してもよいですね。

お客様により喜んでもらえる

昨今のコロナ事情もあり、お客様は以前にも増して飲食店の衛生管理体制を重視しています。 清掃がずさんなお店に対して、お客様は厳しい目を向けるでしょう。

店内が清潔である程お客様の満足度が上がり、お店に良いイメージを持ってもらえます。

清掃効率が上がる

飲食店の従業員の中には、経験が浅い人もいます。 飲食店での勤務に慣れていない従業員にとって、清掃はとても時間のかかる作業です。

マニュアルがあれば、清掃に慣れていない従業員でもスムーズに作業できるようになります。

クレンリネスって何?飲食店の清掃に必要な考え方

飲食店の清掃マニュアルを作る上で、知っておきたい考え方をご紹介します。

“クレンリネス”という言葉を知っていますか? クレンリネス(cleanliness)は、清掃で作られた、お客様にとって清潔で、安全で、快適な状態を意味します。 ここまで聞くと、クレンリネスは当たり前のことだと感じるかもしれません。

クレンリネスによく似た、”クリーンネス”という言葉があります。 クリーンネス(cleanness)は、ある場所をきれいにするための行為を指します。

2つの言葉の意味を比較してみてください。 クレンリネスとクリーンネスの違いは、誰の立場で考えているかということです。

クレンリネスは、お客様の視点できれいかどうか、気持ちよく過ごせるかどうかという考え方です。 一方クリーンネスの根底には、清掃する人間がきれいだと思う状態にするという考えがあります。

飲食店の清掃で大切なのは、クレンリネスです。 お客様にとってきれいなお店にすることを意識しながら、清掃マニュアルを作成してみてください。

実行しやすい清掃マニュアルを作る7つのポイント

清掃マニュアルは、従業員がその内容を共有し、徹底して守ることで、初めてその意味を成します。 従業員が実行しやすいマニュアルを作るポイントは以下の7つです。

注意事項を明示する

特に意識すべき点や見落としが発生しやすい場所は、色や文字の大きさを変え、強調して明示しましょう。

また、飲食店には刃物や高温の油といった危険が多いです。 事故を防止するために意識することを示すのも忘れてはいけません。

不測の事態に対応した内容を入れる

飲食店では、時に様々なトラブルが発生します。 お客様の飲み物がこぼれたり、お客様が嘔吐してしまったりと、急に清掃が必要になる事態が起こります。

急な出来事に対処する手順を示すマニュアルがあれば、従業員が慌てず、迅速に動けます。 従業員が冷静に対応できれば、お客様も安心して食事ができるでしょう。

写真、絵を入れる

清掃完了とみなす基準や途中の工程は、言葉だけではなかなかうまく説明できません。 必要に応じて写真や絵を用いて、誰が見ても分かる内容にしましょう。

持ち運べるサイズのマニュアルを用意する

全員で共有するマニュアルとは別に、個人で持ち運べるマニュアルがあると、作業中こまめに内容を確認できます。何度もチェックすることで、従業員がマニュアルを深く理解し、質の高い清掃ができます。

清掃者、場所、日時がわかる当番表を作る

清掃の作業内容を示すマニュアルに加えて、どの作業をいつ、誰が行うのかがわかる当番表も作りましょう。 分担をはっきりさせることで作業の偏りがなくなり、従業員の不満も生まれにくいです。

作業の分担はローテーション制にすることをおすすめします。 1人1人が全ての作業を経験でき、従業員の急な欠勤や退職にも対応できるためです。

チェックリストを作る

清掃が完了したら印をつけるチェックリストも準備しておくとよいです。 チェックリストを作るメリットは以下の3点です。
  • 清掃する場所の見落としを防げる
  • 誰が清掃したか書く欄があると、従業員が責任を持って作業できる
  • 効率よく清掃できる
チェックリストがあれば、細かい箇所も抜け漏れなく清掃できます。 しかし、チェックリストに頼りすぎるのもいけません。 チェック項目以外に気づいた汚れがあればきれいにする、という自主的な清掃も従業員に意識させましょう。

日々更新する

清掃マニュアルの内容を作った当時のままにしていては、清潔なお店を維持できません。

実際に清掃する従業員の意見を参考にしたり、新しい掃除道具を導入したりと、日々改善していきましょう。 マニュアルに従業員の意見を反映すれば、従業員のモチベーションもアップするはずです。

掃除道具について注意したいこと

清掃の質を上げるには、使う道具を正しく管理することも大切です。 以下の2点に気をつけて掃除道具を管理しましょう。

道具の状態を整える

清掃に使う掃除道具は古くなっていませんか? 汚れたスポンジは洗剤を上手く泡立てられませんし、ブラシの毛先がバサバサだと使いづらいです。 掃除道具が激しく劣化していると、落とせる汚れも落とせません。

使用後のスポンジを洗剤で洗うなど、こまめに道具をお手入れして長く使えると良いですね。 また必要に応じて買い替えたり、新しい道具を導入したりしましょう。

従業員が清掃に励みやすい道具の整備も、マニュアルを実行してもらうための重要な対策です。

お客様の見えない場所に片づける

食事中に掃除道具が視界に入ると、お客様はあまりいい気はしません。 掃除道具は従業員だけが入る、お客様が見えないスペースに収納しましょう。 衛生管理のために、掃除道具に食材が接触しないようにすることも心掛けてください。

まとめ

清掃マニュアルがあれば、複数の店舗でも同じ基準で正しい清掃を徹底できます。 マニュアルの内容や道具を一緒に改善するなど、従業員と協力して店内の清掃に取り組むことが理想です。

食事するお客様も働く従業員も気持ちよく過ごせる環境を、従業員と一緒に作っていきましょう。