「トイレがきれいな飲食店は人気がある」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

飲食店を訪れるお客様は、トイレの清潔さを重視します。どれだけ美味しい料理を食べて、店員さんのサービス精神に感動しても、トイレが汚いだけでお店のイメージが一気に悪くなってしまうこともあります。

今回は、トイレを掃除してきれいに保つ方法、そして他の飲食店と差がつくトイレの特徴をご紹介します。

  1. 飲食店のトイレ掃除が大切な2つの理由
  2. トイレが臭うのはどうして?
  3. 飲食店のトイレ掃除の原則
  4. 飲食店でできるトイレの掃除術
  5. 従業員にトイレを進んで掃除してもらう方法
  6. 他の飲食店と差がつくトイレとは
  7. トイレをきれいに掃除して客様の満足度を高めよう

飲食店のトイレ掃除が大切な2つの理由

飲食店において、どうしてトイレをきれいにすることが重要なのでしょうか。

お店の評価に直結する

トイレはお客様の目に入る、飲食店で最も汚れやすい場所です。汚くなりがちなトイレが清潔に保たれていれば、「他の場所も同じように掃除されているのだろう」とお客様に思ってもらえます。

トイレの清潔さは、飲食店の衛生観念を示していると言えます。そのため、飲食店のトイレに対する評価はお店のイメージに大きく影響します

食中毒の感染を予防する

食中毒は食材や調理器具だけでなく、手指を介しても感染します。感染者が手で触れた部分に他の人が触れて感染が広がるということも少なくありません。

従って、トイレを清掃しないと、食中毒の感染が広まる危険があります。

例えば、食中毒に感染した従業員がトイレットペーパーや蛇口などを手で触り、その後お客様がトイレを利用して感染するという事態が起こるかもしれません。お客様から従業員へ感染するというケースもありえます。

お客様と従業員の安全を守るためにも、トイレをきれいに保つことが大切です。

トイレが臭うのはどうして?

清掃が行き届いていないトイレでは、目立った汚れがなくても悪臭が発生します。そんな不快な臭いの原因を解説していきます。

尿のアンモニア臭

便器の内外に飛び散った尿を掃除せず放置していると、雑菌が繁殖して尿の成分が分解され、アンモニアが発生します。さらに時間が経つと、尿のカルシウム成分が固形化して尿石となります。

一度できた尿石は、菌が増殖することでどんどん拡大していきます。大きくなった尿石を落とすのはとても大変です。尿が固まって尿石にならないよう、こまめに掃除しなければなりません。

水回りのカビの臭い

トイレには常に水が入っており、カビが発生することがあります。

便器の中だけでなく、タンクや換気扇の中といった目に見えない場所でもカビの発生リスクがあるため、注意が必要です。

トイレで発生したカビは悪臭の原因になることに加え、吸い込んだ人の健康を害する恐れがあります。

下水臭

排水管が詰まると排水に使われる水の量が増え、便器の中の水が不足します。すると、排水管から発生した臭いがトイレに充満します。

また、便器と床の間に隙間があると、そこから下水臭が漏れだすことがあります。トイレをきれいに清掃しても悪臭が気になるという場合は、排水管のトラブルや便器の異常がないか確認してみてください。

飲食店のトイレ掃除の原則

  • 上から下
  • 奥から手前
  • 外側から内側

上記の原則に沿うことで、トイレを効率よくきれいに掃除することができます。

トイレは内側ほど汚くなっています。汚い箇所を掃除した道具できれいな所を掃除すると、かえって汚れを広げてしまうことになります。汚れが少ない外側を先に掃除しましょう。

トイレ掃除をスムーズに進めていくためには、掃除する順番も考慮しなければなりません。

飲食店でできるトイレの掃除術

飲食店でトイレをきれいに掃除する方法をお伝えしていきます。

床、壁

  • 手洗い時に飛び散った水
  • 外からの砂
  • 飛び散った尿

トイレの床や壁が汚れる原因は、主にこの3つです。

床はモップやブラシ、壁は抗菌シートを使って汚れを落としましょう。壁はお客様の視線の先にあり、特に汚れが目に入りやすいため念入りに拭いてください。

床のタイルに隙間がある場合は弾力のあるデッキブラシで掃除するというように、材質に合った道具を選ぶと良いです。また、特に汚れが溜まりやすい便器と床の間には、専用のマットを敷いておくことをおすすめします。

外側のホコリや、蓋を閉めて流すことで内側に飛び散った水を、抗菌シートで拭き上げます。

便座との接続部分や蓋の側面も忘れずにきれいにしましょう。

便座

便座はお客様の肌が直接触れる場所であり、確実に汚れを落とさなければなりません。抗菌シートで丁寧に拭きましょう。

蓋と同様に、側面や便器との接続部分も忘れてはいけません。便座と便器の接続部分は飛び散った尿がこびりつきやすく、悪臭の発生源になる可能性があるため、念入りに拭いてください。

便器

便器の外側は、抗菌シートで拭けば十分きれいになります。

内側は専用のブラシやスポンジを使って磨いていきましょう。飛び散った尿による汚れは、基本的に酸性洗剤を使えばきれいになります。しかし、カビによる黒い汚れがこびりついて取れない場合は、塩素系洗剤を使うのがおすすめです。

酸性洗剤と塩素系洗剤を混ぜると有毒ガスが発生して危険であるため、洗剤の取り扱いには十分注意してください。

タンク

便器のタンクは汚れがつきにくい場所ですが、タンクの上にある手洗い場はお客様の目に入りやすいため、掃除を怠ってはいけません。下記に示す汚れを抗菌シートできれいに拭きましょう。

  • タンクの外側
  • 手洗い場
  • 蛇口

排水管

排水管が詰まってしまうと、水が流れにくくなったり、悪臭が漏れ出したりする恐れがあります。そのため、こまめなチェックが必要です。

排水管は、専用のパイプクリーナーを使って掃除します。

  • 液体タイプ
  • 粉末タイプ
  • 真空式タイプ
  • ワイヤータイプ

パイプクリーナーにはこれらの種類があります。飲食店では液体タイプや真空式タイプを常備していることがほとんどです。

その他の細かい箇所

ご紹介した箇所以外にも、トイレで汚れが目立つ場所はたくさんあります。

  • 洗面台、化粧台
  • 窓ガラス
  • ドア、ドアノブ
  • トイレットペーパーホルダー
  • 水栓レバー
  • ゴミ箱、サニタリーボックス

こういった細かい箇所も見落とさず、抗菌シートで拭くなどして汚れを落としましょう。

従業員にトイレを進んで掃除してもらう方法

従業員にトイレ掃除を進んで行ってもらうにはどうすれば良いのでしょうか。

マニュアル/チェック表を作成する

掃除の手順を示すマニュアルや、掃除、点検する項目を確かめるためのチェック表を作成しましょう。

指針があると、その通りに掃除しようという意識を持って掃除してもらうことができます。

チェック表に盛り込む項目の例を以下に示しますので、参考にしてみてください。

  • トイレットペーパーの予備はあるか
  • 手洗い場のペーパータオルは不足していないか
  • 便器の中は汚れていないか
  • 床は汚れていないか

掃除道具を揃える

トイレ掃除をしようと思っても、道具が汚いとやる気が失せてしまいますよね。使いやすい掃除道具を揃えて管理することも、従業員のモチベーションアップに繋がります。

道具が古くなっていないかをこまめに確認しましょう。また、雑菌やウイルスが広がってしまうため、トイレ掃除に使う道具を他の場所の掃除に使うのは避けてください。

他の飲食店と差がつくトイレとは

お客様に関心してもらい、お店の印象をアップさせるようなトイレにするための工夫をご紹介していきます。

張り紙をしない

「トイレをきれいに使いましょう」という張り紙をよく見かけますよね。公衆トイレなどで使用マナーを呼びかけるのは有効です。しかし、飲食店でそのような張り紙をするのは、以下の理由からあまりおすすめできません。

お客様がお店との距離を感じてしまう

お店がお客様にとって身近な存在になるためには、お客様との信頼関係を築くことが大切です。

しかし、張り紙はいわば「注意」です。お客様が張り紙を見ると、「マナーを守らない客だと思われている」という印象を与えかねません。お客様がお店との距離を感じてしまう恐れもあります。

張り紙は汚いトイレを連想させる

張り紙があると、普段トイレが汚れているのではないかと考える方も多いでしょう。きれいに使ってもらうために張り紙をするはずが、かえって不潔なイメージを抱かせてしまう可能性もあります。

消臭剤を設置する

臭いを防ぐ消臭剤を設置しておくと、トイレの空気がきれいになり、お客様が気持ちよく利用することができます。ただし、消臭剤の匂いには好みが分かれるものも多いため、香りが強いものは避けましょう。

女性用アメニティを用意する

女性にとって、トイレは身だしなみを整える場所でもあります。

  • 綿棒
  • 油取り紙
  • サニタリー用品
  • ポケットティッシュ

これらのアメニティが喜ばれます。しかし、汚れていたり予備が足りなかったりすると、かえって印象が悪くなってしまいます。アメニティを設置する場合は、管理を徹底しなければなりません。

赤ちゃん用のシートやゴミ袋を設置する

家族で訪れるような飲食店では、おむつを捨てるゴミ袋やベビーシートを用意しておくと親切です。赤ちゃんと一緒に安心して利用できると思ってもらえれば、家族連れのお客様が繰り返し来店してくれる可能性も高くなります。

トイレをきれいに掃除して客様の満足度を高めよう

飲食店のトイレを掃除する際のポイントをお伝えしてきました。

お店として「ここまできれいにする」という基準を定めて、常に清潔な状態を保つよう従業員に徹底してもらいましょう。

トイレがきれいであれば、より快適に過ごすことができ、お客様の満足度を高めることができますよ。