気温が上がり始めると突然わいてくる生ごみの虫、本当に困りますよね。
部屋をしっかり戸締りしていても、家の中に虫を寄せ付けるものがあれば網戸の小さなすき間をくぐり抜けて侵入しまうもの。
キッチンの生ごみは虫が好む条件をよく満たしているので、日ごろから入念な対策をしておくことが必要なんです。
今回のコラムでは、生ごみに発生する虫の原因や対策について説明します。
虫が生ごみに発生する理由は?
生活していると必ず出てくる生ごみ。
虫の発生を防ぐためにも、まずは家庭内のどんな性質や環境を虫が好むのか知りましょう。
生ごみの腐敗臭と虫の相性がいい
虫はにおいにとても敏感で、遠くから好みのにおいを嗅ぎつけてやってきます。
ハエなど生ごみに集まる虫は腐敗した食べ物を好んだり、産卵場所にする性質を持っていたりするので、腐敗臭を好んで集まってくるのです。
嗅覚に優れた虫の対策をするには、虫の好きなにおいを発するものについて確認しておくのも良いかもしれません。
- アルコール類
- エステル類
- 揮発性脂肪酸類
- 窒素化合物
- 硫黄化合物
虫が好むこれらのにおいは、いずれも発酵や腐敗、果実の熟成など、微生物による食物の分解に大きく関係しています。
生ごみの腐敗への対策が必須なのはこのためです。
ハエはタンパク質も好む
ハエは生ごみのほか、ヒトやペットの排泄物からもタンパク質を摂取しています。
ですので、生ごみに寄ってきたハエが排水溝やトイレなど室内のタンパク質汚れが溜まりやすい場所も好んで移動することがあります。
外に放置すると生ごみがさらに痛む
室内に生ごみを置いておきたくないから、と集めた生ごみを収集日まで野外に放置していませんか?
外にゴミを放置していると、虫がにおいを嗅ぎつけやすくなるだけでなく、家の中より高い気温で生ごみが早く痛みます。
虫の体は小さく網戸や窓の桟の隙間などから簡単に室内に侵入できてしまうので、虫を呼んで室内に入れてしまうことにもつながりかねません。
良かれと思って生ごみを外に出したことで、虫の発生がより深刻化する可能性が……
生ごみに発生する虫の種類は?
生ごみに発生する虫はほとんどがハエ。一説によると、生存競争に敗北したことにより他の虫が好まない生ごみを栄養源とするようになったとも言われています。
ハエは見た目にも悪く不快であるという理由で嫌われがちですが、一番の問題は多くの感染症を媒介しやすいということです。
- コレラ
- 病原性大腸菌O-157
- 赤痢
- チフス など
誰でも名前は聞いたことがある、重篤な感染症の原因ともなってしまうのですね。
イエバエ
「ハエ」と言われて多くの人が思い浮かべるビジュアルが、このイエバエのものなのではないでしょうか。
体長は6ミリ~8ミリと比較的大きく、春~初夏と秋~晩秋の年2回増加します。
名前の通り人家に多く発生し、腐った食べ物や排泄物を好みます。世界じゅうのどこでも見つかる上、病原性大腸菌O-157を媒介することが知られています。
ショウジョウバエ
体長2ミリ~3ミリほどの小さなハエで、黄褐色や赤褐色の体をしていることが多いハエです。台所で見つかるコバエの多くがショウジョウバエと言われています。
発酵や腐敗に関連したにおいをとりわけ好み、果汁や酒、醤油、味噌、お酢などに誘引されて食品に混入することも多い厄介な害虫です。
産卵から羽化までの期間が約10日と短いため、発生源を放置しておくとすぐに大量発生してしまいます。
ノミバエ類
体長は2mmほどで、ノミのように丸い見た目が特徴のノミバエ。日本では127種類の分布が知られており、うち一部が屋内で発生します。
生ゴミや腐った植物、排水溝、動物の排泄物など、家の中の様々なものを発生源とするため注意が必要です。
動きが活発でわずかな隙間からも入り込みやすいため、家の中で見かけたことがなかったのにある日突然食品に混入しているのが見つかった……なんてこともあり得ます。
ハエの増殖を防ぐには?
虫(ハエ)を防ぐ一番の方法は、身の回りを清潔に保つこと。
家の中で1匹見つかったら、どんどん増えるものだと思っておいたほうがいいかもしれません。
特にショウジョウバエやノミバエのような小さなコバエは、家の小さな隙間をくぐり抜けてやってきます。1匹家に入れてしまうとハエが発生源に集まり、卵を産みつけて一気に増殖してしまうでしょう。
そのため、ハエの対処には対症療法よりも原因療法が効果的なのです。
生ごみはなるべく早めに捨てる
廃棄物の中でも、生ごみはハエの発生源として最大級。速やかな対処が求められます。
生ゴミは放置する時間が長いほど腐敗が進み臭いがきつくなっていくので、必ず置きっぱなしにせず早めに処分しましょう。
すぐに捨てられない場合は、保管の仕方を工夫することが必要です。
生ごみの捨て方を工夫する
生ごみを分解する微生物が好むものは以下の通り。
- 湿気、水分
- 酸素
- 暖かい環境
- 栄養分(有機物)
このうち有機物だけはどうにもなりませんが、湿気や酸素には対応することができますよね。
新聞紙+ビニール袋で悪臭減!
水分や湿気があると生物が活性化し、生ごみの腐敗が一気に進みます。
生ごみを新聞紙に包めば、水気が紙に染み込んで腐敗の進行を抑えることができます。
さたに、新聞紙に含まれるインクには成分を吸着する効果があるため、悪臭予防効果がさらに高まります。
包んだ生ごみはビニール袋に入れて空気を抜いて保存しましょう。水気やにおいを抑えるだけでなく、微生物が好む酸素を減らして腐敗を遅くさせられます。
ペットシーツで代用もできる
ペット用シーツは吸水力が高いだけではなく、ふん尿のアンモニア臭を対策するため消臭加工も施されています。
新聞を取っていないご家庭の場合は、格安のペットシーツを活用してみてもいいかもしれませんね。
生ごみを冷蔵庫や冷凍庫で保存する
どうしてもすぐに生ごみを処分できない場合は、生ごみを冷やすことで微生物の活動を抑制すればごみ収集日まで快適に過ごせます。
ビニール袋やジップロックに生ごみを入れてしっかり密閉したら、冷蔵庫や冷凍庫に入れるだけ。
どうしても衛生面が気になる場合は袋を二重にしたり、新聞紙を使ったりしても◎。
臭いがほとんど漏れないので、ハエの発生をストップできますよ。
三角コーナーや生ごみ受けに放置は×!
食品を扱うシンク近くに生ごみを捨てる場所を設けていれば、すぐにごみをまとめられて便利ですよね。
しかし、お話してきた通り水分は生ごみの腐敗を進める大きな原因です。
三角コーナーや生ごみ受けにごみを放置するのはやめましょう。
なるべく三角コーナーはシンク内に置かず、日ごろからきれいに掃除して生活な状態を維持しておくのも効果的です。
虫は生ごみの臭いを嗅ぎつけてくる!臭いの元断ちで対策
家の小さなすきまから生ごみの臭いを嗅ぎつけてやってくるコバエ。
1匹だからと油断していると生ごみに卵を産み付け、いつの間にか大量発生してしまうかもしれません……
コバエを断つには発生源となる生ごみへの対処が必要。
日頃から室内の清潔を心がけ、コバエが卵を産み付けないよう防ぎましょう!