2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降、消毒用アルコールやエタノールを使う頻度が一気に増えましたよね。
手指の消毒はとても重要な感染対策ですが、気になるのは肌荒れやあかぎれ。
消毒をしないわけにもいかず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そんな時、「グリセリン」という成分のことを知っておくと役立つかもしれません。
今回はグリセリンの効果や肌荒れとの関係など、グリセリンと消毒用エタノールの関係性について解説します。
グリセリンに関する基礎知識
引用:www.amazon.co.jp/dp/B000RYUUW2
グリセリンはアルコールの一種で、無色透明で粘度のあるテクスチャーの液体です。
グリセリンの特徴は?
グリセリンは以下のような性質を持っています。
- 甘味がある
- 水に溶けやすい
- 人体に無害
- 高い吸湿効果を持つ
グリセリンはその性質上、甘味料や増粘安定剤として食品に添加されることがあります。
また、保湿剤や潤滑剤として医薬品に添加されたり、吸湿効果と粘性を生かして軟膏や保湿クリーム、スキンケアアイテム、化粧水や乳液などに配合されたりもしています。
グリセリンで肌荒れを防げる?
前述した通り、グリセリンは保湿剤として活用されるほど高い吸湿効果・保湿力を持っています。
そのため、消毒用のエタノールに少量混ぜ込むことで手荒れを防ぎながら消毒ができると言われています。
もう少し詳しく見てみましょう。
手荒れのメカニズム
皮膚のみずみずしさを保ち雑菌の侵入を防ぐために、「角質層」と呼ばれる皮膚表面の角層やそれを覆う皮脂がバリア機能として働いています。
しかし、1日に何度も手洗いやアルコール消毒をすると角質層の潤いが逃げて肌表面のバリア機能が低下し、皮膚から水分が逃げて乾燥してしまいます。
これが手荒れの原因。
すぐれた吸湿性があるグリセリンであれば、角質層の水分をキープすることで肌を潤った状態に保つことができるのです。
ヒアルロン酸との相性が抜群
「ヒアルロン酸」とは、細胞と細胞の間で水分を蓄える物質です。
クッションのように機能して細胞を守ったり、細胞同士をつないだりといった役割を持っています。
グリセリンはこのヒアルロン酸と相性がよく、相乗効果で肌の水分保持ができるため、エタノールの刺激で荒れた肌にぴったりです。
グリセリンのアルコール成分はほぼ蒸発しない
エタノールなどのアルコールは、手指を消毒したらすぐに揮発して乾きますよね。
ですからグリセリンもアルコールと聞くと、気化しやすいと思ってしまいがち。
しかし、グリセリンは揮発性の低い「多価アルコール」の一種なので、ほとんど蒸発することがありません。
安全性が高い
グリセリンは水と性質が類似しており、安全性が極めて高い物質。
前述した通り食品添加物としても使われるくらいです。
昭和化学株式会社が公開する安全データシートによると、グリセリンは軽度の皮膚刺激や眼刺激があるものの、危険有害性はほとんどないということがわかります。
グリセリンを消毒用エタノールに混ぜる?
医薬品に関する品質規格書「日本薬局方」では殺菌・消毒・除菌に使用されるエタノール(アルコール)の殺菌効果の有効範囲を76.9~81.4 v/v%としています。
しかし、この高濃度のエタノールは効果が強い分、手荒れしやすくなってしまいます。
エタノールとグリセリンの配合レシピ
76.9~81.4 v/v%の消毒用エタノールにグリセリンを約1%の濃度になるように混ぜることで、手荒れを軽減できる手作り消毒液が作れます。
消毒用エタノール500mlであれば、グリセリン5mlが適切ということになります。
無水エタノールがある場合は、以下の比率を目安にしてみてくださいね。
無水エタノール:精製水:グリセリン=500ml:125ml:6ml
v/v%ってなに?
「v/v%」は「容量パーセント濃度」という意味で、今回であれば商品の液体中にどれだけのエタノールが入っているか、ということを指しています。
例えば5v/v%のエタノールであれば、100mlの溶液中に5mlのエタノールが含まれている計算です。
スラッシュ(/)の左のvが実際に含まれる薬液の量、スラッシュの右のvは薬液を薄めたときの全容量にあたります。
グリセリンはどこに売っているの?
グリセリンやエタノール、精製水はすべてドラッグストアで販売されています。
精製水はダイソーやセリアなどの100均に並んでいることも。
頻繁に売れるものではないため販売していないというケースもあります。見つからなければ、在庫を店員さんに確認してみましょう。
価格帯もそこまで高いものではないですよ。
グリセリン配合の商品も販売されている
手指消毒用のエタノールの中には、最初からグリセリンを配合した手荒れしにくい商品もあります。
使い方もグリセリンを配合していないものと変わらず、計算や作業もなく手軽に使用できるので、製品を購入する時にあらかじめグリセリン入りのものを確認して購入するのがおすすめ。
上でご紹介しているようなスプレータイプも、ジェルタイプも売られています。
手荒れが気になるならグリセリンの力を借りて
美容液や洗顔、シートマスクなど、美容用品にも含まれているグリセリン。
消毒用エタノールによる手荒れを対策する時にも、強い味方となってくれるのですね。
消毒生活に取り入れて、肌荒れ知らずを目指しましょう。