工場の床には、ホコリや油汚れが溜まりやすいです。それらを長い間放置すると、だんだんと落ちにくく、頑固になっていきます。また、床が滑りやすくなって転倒事故が発生したり、悪臭が発生したりするリスクもあります。

とはいえ、広い床をごしごし磨き続けるのは負担の大きい作業です。

そこで今回は、工場の床を正しく、効率良く掃除して清潔に保つ方法を解説します。床掃除で活躍してくれる機械についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

  1. 工場の床掃除が重要な理由とは
  2. 工場の床掃除を手作業で実施する方法
  3. 工場の床掃除に役立つ機械
  4. 機械で工場の床を掃除する方法
  5. 工場の床掃除で注意すべき3つのポイント
  6. 清潔な床は労働環境の改善に繋がる

工場の床掃除が重要な理由とは

工場の床掃除は、以下の3つの理由から非常に重要です。

  • 従業員が安全に勤務できる
  • 業務の効率が上がる
  • 従業員のモチベーションが上がる

順番に解説していきます。

従業員が安全に勤務できる

工場の床は、水で濡れていたり油汚れが溜まっていたりするため、大変滑りやすくなっていることが多いです。滑り止めがついた靴を履いていても、転倒してしまう可能性があります。

万が一転倒して工場内の機械に巻き込まれてしまうと、大きな事故に発展しかねません。ホコリや油汚れをできる限り取り除くことで、床が滑りにくくなって転倒のリスクが軽減され、従業員が安全に勤務できます。

業務の効率が上がる

工場の床が滑りやすいと、従業員の安全が脅かされるだけでなく、転倒のリスクに配慮しながら勤務しなければなりません。従って、床が滑りやすい工場における業務の効率は、床を清潔に保っている工場に比べると少なからず落ちていると考えられます。

床が清潔で転倒のリスクが低ければ、従業員が移動しやすくなり、業務に集中することができます。1人1人の仕事がはかどり、工場全体として業務の効率をアップさせられるでしょう。

従業員のモチベーションが上がる

働く環境の衛生状態が良好であることは、従業員の健康や精神面に良い影響を及ぼすと言われています。工場においても同様です。

工場の床がきれいに保たれていると、蓄積した汚れによる悪臭が抑えられるなど、快適に働ける環境が整います。従業員のメンタルヘルスが改善され、モチベーションが上がることが期待できます。

工場の床掃除を手作業で実施する方法

ここからは、工場の床を手作業で正しく掃除する方法を解説していきます。

  • ウェット式
  • ドライ式

工場の床は上記の2種類に分類されますが、手作業で掃除する場合は、床のタイプによって適切な掃除方法が異なります。

ウェット式

ウェット式は、排水溝がついており常に水を流すことができる状態の床のことを指し、主に食品工場で取り入れられています。水を流して床全体を一気に掃除できるのが大きな特徴です。

  • ほうき、ちりとりでゴミやホコリを取り除く
  • 洗剤を床にまき、汚れと馴染ませる
  • 汚れが浮いてきたら、ブラシでこする
  • 水で流してすすぐ
  • スクイージーやワイパーで水気を切る

手作業で掃除する場合、上記のような手順で行ってください。工場が稼働している間、ウェット式の床は常に水浸しである場合が多いです。そのため、清掃したら床を十分に乾燥させ、細菌やカビの繁殖を防ぐ必要があります。

ドライ式

ドライ式とは、基本的に排水溝がなく、常に乾いた状態で運用される床のことです。整備工場などを中心に採用されています。乾燥しているため細菌が繁殖しにくく、滑りにくいという特徴があります。

  • ほうき、ちりとりでゴミやホコリを取り除く
  • 洗剤を含んだモップなどで床を拭く
  • きれいなモップで水拭きする
  • 乾いたモップで水気を拭き取る

ドライ式の床を手作業で掃除する際は、このような手順で行いましょう。一気に水をまくと流せなくなってしまう場合が多いため、「汚れを落としてすすぎ、水気を切る」という作業を全てモップで行う必要があります。

従って、ドライ式の床を人の手で掃除するのは、ウェット式の床と比較しても負担の大きい作業であると言えます。

工場の床掃除に役立つ機械

工場の床は、機械を使って掃除することも可能です。工場の床を掃除する際に活躍してくれる、3つの機械について紹介していきます。

  • 床洗浄機(ポリッシャー)
  • 自動床洗浄機(オートスクラバー)
  • 床清掃機(スイーパー)

順番に見ていきましょう。

床清掃機(スイーパー)

スイーパーは英語で「掃除機、清掃する」という意味を持ちます。ほうきやちりとりと同じような役割を担い、ゴミやホコリを集めて吸い込んでくれます。手で軽く押して進ませる手押し式、ハンドル操作が必要な搭乗式の2種類に分けられることが一般的です。

自動床洗浄機(オートスクラバー)

「ごしごしこすって洗う」という意味を持つオートスクラバー。モップがけの代わりを果たしてくれます。床清掃機と同様に、手押し式、搭乗式という2つのタイプがあります。

洗剤と清水を出してブラシやパッドで床を洗浄し、バキュームで汚水を回収することもできる優れ物です。

機械が大きすぎるとスムーズに動き回れず、小さすぎると清掃に時間がかかってしまいます。また、タンクの容量が小さすぎると、清水の補充や汚水の廃棄をこまめに行わなければなりません。

以下の3点を考慮して自動床洗浄機を選ぶと、より効率良く清掃することができます。

  • 機械の洗浄幅と工場の広さのバランス
  • 清水を蓄えるタンクの容量
  • 回収した汚水を貯蔵するタンクの容量

床洗浄機(ポリッシャー)

ポリッシャーは、「磨く、ツヤを出す」というデッキブラシのような役割を担ってくれます。円形のブラシやパッドを素早く回転させることで、デッキブラシより強い洗浄力を発揮します。ワックスを剥がして床を洗浄、研磨する際に使用するのがおすすめです。

機械で工場の床を掃除する方法

機械を使えば清水や洗剤の散布、汚水の回収を一貫して行ってくれるため、掃除中に床が水浸しになる心配はありません。そのため、機械で床を掃除する場合は、ドライ式、ウェット式に関わらず以下のような方法で行うことができます。

  • 床清掃機(スイーパー)でゴミやホコリを取り除く
  • 自動洗浄機(オートスクラバー)で洗剤と清水をまき、汚れを落とす
  • 汚れを落とす過程で汚水を回収する
  • スクイージーやワイパーで水気を切る

水気を切るのは手作業で行う必要がありますが、機械を使えば小さい負担で素早く確実に床をきれいにすることができるでしょう。

ただし、機械は故障やバッテリー切れによって突然動かなくなることがあります。機械が使えない時にどのように掃除するかを、あらかじめ検討しておくと良いです。

工場の床掃除で注意すべき3つのポイント

工場の床掃除をより効果的に行うために、以下の3点に注意してください。

  • 最初の掃き掃除を念入りに行う
  • 油を分解できる強力な洗剤を使う
  • 洗浄した床を十分に乾燥させる

最初の掃き掃除を念入りに行う

掃き掃除をした後に細かいゴミやホコリが残っていると、後にまく洗剤が床に浸透せず、頑固な汚れに対して十分にアプローチできない可能性があります。水や洗剤を一度まいてしまうと、細かい汚れは水分を含んでしまうため、きれいに取り除くことは難しいです。

掃き掃除の段階で、細かなホコリやゴミは確実に除去しておきましょう。また、油汚れが蓄積して固まっている場合は、スクレーパー(ヘラ状の工具)などでできる限り取り除いておくと、洗剤が汚れに届きやすくなります。

油を分解できる強力な洗剤を使う

工場における油汚れは非常に頑固であり、一般的な洗剤で分解するのは難しい場合がほとんどです。ただし、洗浄力の弱い洗剤を大量に使っても、汚れが落ちやすくなるわけではありません。

工場の油に対応しているような、洗浄力に優れた強アルカリ性の洗剤を用いることをおすすめします。

洗浄した床を十分に乾燥させる

掃除で水や洗剤をまいて湿った床は、油が染み込みやすい状態になっています。洗浄した床が乾燥しきっていない状態で、業務を再開することは避けましょう。

スクイージーやワイパーで水気を切る作業は、念入りに行う必要があります。そして、シーリングファン(天井についた扇風機)を使用したり扉を開放したりすることで工場内の通気性を良くし、床をじっくりと乾燥させてください。

清潔な床は労働環境の改善に繋がる

工場の床が清潔に保たれていれば、悪臭を防いだり転倒事故のリスクを軽減したりできるため、従業員が安心して働くことができます。

今回ご紹介した方法で掃除することで、頑固な汚れにも洗剤の成分を届け、工場の床を効率良くきれいにすることができます。従業員が働きやすい工場を作るために、まずは床の掃除から見直してみてください。