新型コロナウイルスの流行が収まるきざしを見せず、引き続き対策の強化が求められる昨今。
アルコールや次亜塩素酸ナトリウムの消毒液も今や必需品となりました。
しかし、使い方次第では大事な服が色落ちしたり、傷ませてしまったりする原因となり得るので注意しなければなりません。
今回は、消毒液と服の劣化の関係について解説します。
アルコール消毒液は色落ちにつながる?
アルコール消毒液は、カバンなどの革製品全般や合皮製品に使用した場合シミや色落ちの原因となります。
それ以外の素材でも、濃度や染料などの条件しだいで布に何らかの影響を及ぼす可能性はあります。
革や合皮に使えないのはなぜ?
革や合皮のアイテムに使われているコーティングとアルコールが化学反応を起こしてしまうからです。
実は、アルコール自体は革製品のプロも使用しており、ごくわずかな量を使って製品表面の皮脂汚れや油膜を取り除いています。
逆に言うと、プロが調節するレベルの少量でないと、表面のコーティングや模様が拭き取られてしまうかもしれないのです。
色落ち・シミになったらどうする?
元通りきれいにしたい場合は、自分で触らずすぐに革製品や合皮製品のケアができるリペア店などに行くことをお勧めします。
シミの状態や革の種類によってはある程度応急処置ができますが、素材のコンディションを悪化させてしまう可能性も高いです。
どうしても自分で処理したい場合は?
「あまりお金をかけたくない」「時間がない」といった理由で、ある程度見えにくくなっていれば完全にシミや色落ちがなくならなくてもいい、という人もいるかもしれません。
その場合は、水に濡らして絞った綿の布でシミ周辺に水を染み込ませて湿らせれば、シミの輪郭をぼかせます。
乾いても跡が残ってしまいそうな時は、油分をなじませるように湿った状態の革を揉んでみましょう。
よれた部分を整え自然乾燥させれば、目立ち方を抑えることが可能です。
ただし、ヌメ革や羊革など繊細な材質の革には逆効果なので気を付けて。
自分で処理するのに自信がなければ、おっくうでも必ずリペア業者にお願いしましょう。
革や合皮を消毒したい時は?
革製品や合皮製品には次亜塩素酸ナトリウム液を使いましょう。
正しく使用すれば、素材を傷めることなく消毒ができますよ。
- 次亜塩素酸ナトリウム液を薄める
- 少量を柔らかい布にとり、表面や金具部分を優しく拭く
- 水拭きをする
ポイントは、次亜塩素酸ナトリウム液を約0.05%程度まで薄めること。
濃度が高すぎれば、次亜塩素酸ナトリウム液であっても革や合皮を傷めてしまいます。
強くこすり過ぎたり、拭きかけすぎてしまったりすると逆効果なので気を付けましょう。
また、水拭きの時に拭き残しがあると、素材の変色やシミ、傷み、金属パーツの腐食の原因となります。
念には念を入れて水拭きを行い、次亜塩素酸ナトリウムが残らないようにしましょう。
革や合皮以外がアルコール消毒液で色落ちしたら?
この場合も、服のお直し店などにお願いすることをお勧めします。
というのも、アルコール消毒液は基本的に衣類の生地に対して大きな悪影響を及ぼすものではないから。
むしろ、衣類用除菌スプレーなどには、商品によって濃度の違いはあれどアルコール(エタノール)が含まれている場合が多いです。
世界保健機関(WHO)の報告でも「衣類表面をアルコール消毒剤で拭き取る行為は、表面の消毒に役立つ」とされているほどであり、布の品質落ちにはつながりにくいと考えられます。
その分アルコール消毒液による衣類変質は原因を突き止めるのも難しいので、必ずプロに見てもらうようにしましょう。
ひとつの基準として、「濃度が高い場合はそれだけリスクもある」と参考程度に覚えておくのは◎。
次亜塩素酸ナトリウム消毒液は色落ちにつながる!
革製品や合皮製品の消毒に使える次亜塩素酸ナトリウム液ですが、それ以外の素材に使ってしまうと大変!
シミや色落ちの大きな原因となります。
ハイターの成分と一緒
「次亜塩素酸ナトリウム液」という言葉にあまりなじみがなくても、「ハイター」や「ブリーチ」はご存知の方が多いのではないでしょうか。
これらの製品に含まれる成分こそが次亜塩素酸ナトリウム液。
ハイターやブリーチを漂白のために使うことを思い出せば、次亜塩素酸ナトリウム液で衣類が色落ちしてしまう理由にも自然と納得がいきますよね。
衣類についたらどうすればいいの?
次亜塩素酸ナトリウム液が衣類についてしまった場合は、その服を単独で洗濯し消毒液を落としましょう。
それでも色落ちが進行してしまっていれば染め直しが必要になります。
自分で衣類の染め直しを行うのは難しいですから、必ずお直しのプロに相談しましょう。
衣類を消毒したい時には?
衣類の消毒に使えるアイテムは限られているので、購入前の確認が大切。
より効果的に菌やウイルスを撃退するため、他にもいくつかある注意ポイントを確認していきましょう。
洗濯前の衣服は慎重に扱って
意外と忘れがちですが大切なのが、衣類の扱い方。洗濯前の衣服を振ったり大きく動かしたりすると、付着していたウイルスが飛び散る可能性があります。
洗濯前の衣服はていねいに扱い、なるべく早めに洗いましょう。
より入念に対策したい場合は、使い捨てのビニール手袋を購入するのも効果的です。
加熱できる洗い方が◎
お湯で洗濯を行うか、衣類を乾燥機にかけて熱を加えると、ウイルスの感染力を失わせることができます。
温度60度以上の乾燥機に最低30分はかけるのが安心です。
衣類がボロボロにならないよう、お湯を使う場合は熱湯ではなく適温の50度くらいを目安にしましょう。
アルコール消毒液や次亜塩素酸ナトリウム液は気を付けて使おう
手指に使えたり、モノに付着したウイルスや菌を消毒できたりと、新型コロナウイルスの流行が収まらない今こそぜひ活用したい「アルコール消毒液」や「次亜塩素酸ナトリウム液」。
しかし、どんなアイテムにも適材適所というものがあります。
ウイルス感染が怖い気持ちは分かりますが、大切な衣類に悪影響を及ぼしては元も子もありません。
商品パッケージの説明もよく読み、使いたいシーンに合わせて消毒液を選びましょう。